トヨタを揺さぶる「トランプ恫喝」という激震

メキシコへの投資をなりふり構わず抑え込み

こうした問題をめぐり、トランプ氏から同じく警告を受けた自動車大手の米フォード・モーターはメキシコ工場の新設計画を1月3日に撤回。16億ドル(約1840億円)を投じてメキシコに新工場を建設する予定だったが、代わりに米国工場の増強で雇用を生み出すと発表した。これを受けトランプ氏は「ありがとうフォード。(中略)これは始まりにすぎない。(メキシコからの撤退は)まだまだ多く出てくるだろう」とツイートした。

同じ3日には批判の矛先が、小型車をメキシコで生産する米ゼネラル・モーターズ(GM)にも飛び火。トランプ氏はツイッターで「アメリカで生産するか、高い関税を払え」とGMを批判した。そして今回、初めて標的はトヨタという米国以外の企業にまで広がった。

豊田章男社長は工場建設見直しを否定

トヨタの豊田章男社長はメキシコ工場建設計画を継続することを強調した(撮影:尾形文繁、写真は2016年5月の決算説明会)

トランプ氏がツイッターで発信する直前、トヨタの豊田章男社長は5日に開かれた経済3団体などの新年祝賀パーティーで「アメリカを強くしたいというトランプ氏の政策はよき企業市民になりたいと考えるわれわれと方向性は一致している」とする一方、「工場建設はひとたび決めた以上は雇用と地域への責任がある。現地に行く以上はそこで貢献したい」と工場建設を見直す考えがないことを表明していた。こうした発言が外国メディアなどにも広く流れ、トランプ氏を刺激した可能性が高い。

トランプ氏の発言を受けてトヨタの米国法人は6日、「メキシコへの投資で米国の生産規模や雇用が減ることはない。トヨタは米国に10の工場と13万6000人の従業員を抱えている。トランプ新政権と協力していくことを楽しみにしている」とコメントし、トランプ氏に対して理解を求めた。

ただ豊田社長は5日、記者団にトランプ氏とのトップ会談を行うつもりはないかと問われた際、「そういう立場の人間ではない」と面会については否定している。

トヨタにとって、北米は販売台数も営業利益も全体の3割以上を占める稼ぎ頭だ。米国での新車販売台数のうち、メキシコやカナダも含めた北米地域での生産車の比率は7割を超えている。ただ米国内での生産車だけを見ると、その比率は5割台とみられ、今後はフォードと同じく米国での生産増強が求められる可能性も出てくる。

「1年でいいから平穏無事であってほしい。社長になってから今年は平和でよかったなというのがまったくない」と5日に吐露した豊田社長。だが今年も新年から波乱含みである。

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