トランプ就任演説の注目ポイントはここだ!

政治マーケティングの観点から内容を予想

2つ目のタイミングとなる一般選挙においては、自党の支持者だけでなく、無党派層、さらには他党の支持者からも票を得て、大統領選挙に勝利することが最大の目的となる。このタイミングでは、共和党と民主党の候補者による一騎打ちの戦いとなるため、ライバルとの対立軸を明快に示し、より多くの支持者の心をつかむことが重要である。ただし、この時期に不可欠なのは、ビッグデータ分析などに基づいて、対象とする有権者層の選択と集中を行い、接近戦を勝ち抜く冷徹な政治マーケティングの戦略だ。

今回のトランプ陣営の場合、「現状に怒りや不満を抱くサイレントマジョリティ」の典型例である白人労働者層をメインターゲットに絞ることで、実際には同じような感情を抱いていた共和党地盤である白人層全般、男性層、さらには無党派層が多いとされる中間所得層の取り込みを図ったわけだ。

政権運営が始まったとたん変わること

そして、1月20日に行われる大統領就任式は、政権運営時期における最初のイベントとなる。そこで行われる演説は、政治マーケティング的観点からすると、政策運営マーケティングでの最初の「キャンペーン」という位置づけになる。予備選挙の目的は自党内で指名を受けることであり、一般選挙の目的は大統領選挙での勝利であった。それでは大統領就任後の政権運営における最大の目的は何になるのだろうか。

有権者を主なターゲットとしてきた選挙期間とは大きく異なり、政権運営期間においては、ターゲットとなる利害関係者や対象者がさらに増え、複雑かつ多岐にわたることが特徴だ。国民、政党、議会はもとより、最高裁、官僚組織、圧力団体、ロビイストなどに加えて、外国政府を含む国際政治マーケティングの視点も不可欠となってくる。おもには選挙綱領や選挙公約などが重要となり、支持率や米ギャラップ社の「現職政権期における国の方向性に対する満足度の推移」といった世論調査の結果が、「マーケティングが成功したかどうか=重要業績評価指標(KPI)」となる。

米国の政治マーケティングでは、大統領の支持率に大きな影響を与える要因として、経済状況、内政、外交や安全保障、そして大統領自身のリーダーシップのあり方などが挙げられている。トランプが選挙中に「有権者との契約」として発表した選挙公約や、当選後に発表した就任後100日間計画の内容を上記の要因から分析してみると、経済については雇用創出、内政においては移民政策、外交や安全保障および戦争やテロへの対応については「強いアメリカ」を重視してくるものと予測される。

それではトランプ大統領就任演説の内容を政治マーケティングの視点から予測していこう。ここでは、演説で注目すべき5つのポイントに絞って、それぞれについて解説していく。

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