楽天だけでなく、証券アナリストにもモノ申す

グローバルエリートが証券アナリストの実態を論評

アナリストのレポートには、適当な売買理由も多い

さて、業績予測やモデルの不安定さおよびバリュエーション手法の不完全について述べてきたが、アナリストが株の売買推奨を変える理由もいいかげんなことが多い。まず株価が上がりすぎたらそろそろ顧客に利食いさせるためや精神的な不安感から、とにかくガッツフィーリングで売りに変え、今度は売り推奨を正当化する理由を3個か4個もってくる。

買い判断をするときも、それを正当化する理由を3つか4つ持ってきているだけで、買い理由、売り理由をボトムアップで積み上げて結論に至るというよりは、感情的な結論ありきで売買理由が後付けにされることも多い。まぁ、人間の判断とは大抵、証拠のボトムアップではなく感情的決断が先にあり、その偏見に合致する証拠を探す生き物なので、仕方ないと言えば仕方ないのだが、まともにアナリストの売買判断を信じる運用のプロはほぼいないのではないか。

なお私がいちばん腹が立った理由のひとつは、某欧州系投資銀行が私にさんざん買い推奨をしておきながら、突然「リスクファクターが高まった」などといって割引率を0.5%上げて目標株価を引き下げたときだ。このほかにも「なんじゃそれ」という売買判断変更理由はけっこうあり、あまりに的外れで投資家や発行体の企業から失笑と怒りを買うことも多い。

そしてトップアナリストほど頑固

今回、楽天は荒木アナリストが判断を変えなかったことに怒っているようだが、アナリストは大抵頑固であり、一度下した売買判断をたとえ間違っていようが、そして内心、売買判断を変えたいと思っていようが、売買判断を変えられないことも多い。

これはお客さんにすでに買わせてしまった株を、別に株価も上がっていないのに今度は「ごめん、間違っていた、実はウリです!!」などと言えないからという政治的理由もあるし、人は反対されたり文句を言われたりすると、より強固に反対方向に走りたがるという本性があるのも影響しているし、この業界はフレキシブルに新たな証拠と情報に基づいて売買判断を変えることより、一貫して売買判断を貫くことが誉められる悪しき伝統があることも理由のひとつだろう。

結果的にアナリストは「やばい、こんな株が買いなわけなかった!」と思いながらも、「No change in my view, maintain Buy, because,,,(私の見解に変わりはなく買い推奨を維持する、なぜならば……)」などとひたすら言い続けるのである。さぁ、これだけ多くのアナリストの問題点を聞いた今でも、まだアナリストのレポートを信用して株式売買なさいますか?

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