よいアナリストとは
本日も長らくぶつぶつ書きつづってしまったわけだが、さんざんアナリストの悪いパターンを書きつづってきた今、証券業界にはすばらしいアナリストもたくさんいらっしゃるので、よいアナリストとは何かについて少し書いてから終わろうと思う。
“よいアナリスト”の定義はさまざまなステークホルダーによって変わってくる。株式の発行体の企業にとっては高く(そして質のいい)投資家に売ってくれるアナリストがありがたいし、投資家にとっては安く買って高く売らせてくれる、稼がせてくれるアナリストがありがたい。投資銀行にとってはとにかく高い人気を獲得し、トレードのビジネスを増やしてくれるアナリストがありがたい、社会的には業界のあるべき姿を発信してくれるアナリストがありがたいわけだ。
多くのステークホルダーの異なる目標と優先順位のバランスを巧みにとる必要があるわけだが、私が尊敬する証券アナリストの共通要素は(ちなみにモルガンスタンレーのTさん、今世間を騒がしている三菱UFJのMさん、大変お世話になりました)、企業に対しても顧客の投資家に対しても誠実であり、また縁あって担当業界でアナリストをしている以上、担当業界の発展に尽力したいと思っている、目先の金儲け以上の志のある人だ。
もちろんそれをし続けるには所属している投資銀行を稼がせなければならないし、企業側を怒らせることになっても、時には売り判断のレポートを出さなければならないし、完全に外れた場合は「いつか市場はついてくる」とうそをつかずに率直に、そして早期に誤りを認めることのできる人格者であることが必要だ。
各ステークホルダーの優先事項が異なるために誰かをハッピーにすれば誰かを犠牲にすることになるビジネスなのだが、それでも各方面から尊敬され支持を受けている人は、やはりきちんとした仕事を積み重ねて、その誠実さと正直さで信頼を集めている人たちなのである。
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