楽天の横暴にモノ申す

グローバルエリートが楽天問題にも参戦

グローバル化の進展により、国の枠を超えて活躍する「グローバルエリート」が生まれている。しかし、そのリアルな姿はなかなか伝わってこない。グローバルエリートたちは何を考え、何に悩み、どんな日々を送っているのか? 日本生まれの韓国人であり、国際金融マンとして、シンガポール、香港、欧州を舞台に活動する著者が、経済、ビジネス、キャリア、そして、身近な生活ネタを縦横無尽につづる。
今や日本を代表する企業のひとつとなった楽天。日本企業の顔に相応しい品格を見せてほしい(撮影:風間仁一郎)

 さて、本来ならば既に出来上がっている原稿をアップして悠々自適の週末を過ごすはずだったのだが、楽天が三菱UFJモルガンスタンレーの荒木正人シニアアナリストを公開開示情報で名指しで批判して投資家に参考にしないように求めた(楽天のプレスリーリースはこちら)。

この楽天による“極めて幼稚なミスジャッジメント”は私を大変驚かせ、本日もフランスの彼方からはるばる参戦することとなった。

情報開示不足と中途半端な予測は、当然のトレードオフ

まず荒木氏のレポートにも税率の予測やコスト予測で突っ込みどころ満載だったようだが、そもそも事業部門別のコスト予測に必要な開示がされていないのならば、アナリストの予測は適当にならざるをえない。

楽天としては競合や投資家や顧客、サプライヤーに収益情報を開示したくないビジネスもあるだろうし、投資家と会社の間には情報の非対称性がつきものだが、セグメントごとのコスト予想の根拠を開示しないことを選ぶ以上、アナリスト予測が的外れになるのは当然発生するトレードオフである。

私も某外資系金融機関でアナリストをやっていたころは、会社によっては将来予測の材料になる情報を全く開示しないので私のつくるモデルも根拠の乏しいものになり、ファンドマネジャーに怒られたものである。これは楽天のことを指しているわけではなく一般論なのだが、収益予想に必要なレベルの情報を開示しない会社は投資家及びアナリスト泣かせであり、業績予測も株価も当たらないのでできるだけカバーしたくない会社でもある。

ただし楽天は詳細な部門別の情報開示を詳しくしなくても時価総額も大きくボラティリティの高い株なのでアナリストや投資家がフォローしてくれるため、投資家への情報開示という点、少なくともアナリストへの対応という点で資本市場に対する驕りが見られるのではないか。飛ぶ鳥を落とす勢いの今だからこそ、楽天には謙虚さを忘れて欲しくない。

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