親が子どもにうっかり授ける「裏の教育」 「人格否定しなければ叱っていい」は大間違い

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大体の人は、そういう言葉は言わないんですけれど、そういう人でも、「物事についてなら、いくらでも叱っていい」と思っているんです。

親野 智可等(おやの ちから)/教育評論家。長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。 ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中(撮影:梅谷秀司)

でも子どもの立場になってみると、結論としては同じなんですよ。何度も言われ続けると、「ああ、僕ってダメな子だな~」になるんだよね。

ボクシングにたとえると、人格否定や存在否定の言葉は、相手を一発でノックアウトする、メガトン級のストレートパンチ。物事についての否定的な言い方というのは、一つひとつはそこまで強くないけれど、ジャブなんですよ。ボコボコと相手を痛め続けて、最終的にはノックアウトしてしまう。

そうすると、自己肯定感がぼろぼろになっちゃうんだよね。

勉強でも運動でも生活習慣でも、遊びでもなんでも、「わたしはできそうだ」と思えなくなっちゃう。やる気が出てこないから、チャレンジしなくなるよね。

やったとしても、ちょっと壁があると乗り越えられない。「やっぱりダメだ、どうせおれなんかダメだ」って、すぐあきらめちゃう。

逆に自己肯定感がある子は、何事においても「できそうだ!」と思えるから、チャレンジをする。ちょっと壁があっても、「大丈夫、わたしはできるはず」っていう頑張りが利いて、乗り越えられるから、どんどん伸びていける。

自己肯定感があるかないかって、非常に大きい差なんだよね。

「叱る」の弊害は、たくさんあるんですよ。たとえば、子どもは親に対する愛情不足感や不信感から、不安でたまらなくなる。それで、愛情を確認したいという衝動にかられて、試すような行動に出てしまう。

だから、親にわざと心配をかけるような「やっちゃいけないこと」ばかりしてしまいます。たとえば高いところから飛び降りるとか、お店のものを盗っちゃうとか、火遊び、落書き、ものを壊すとか。あるいは、弟や妹、クラスの弱い子をいじめるとか。

そういった危険なこと、反社会的なことをやると、親が心配するから。その姿を見て「ほら、こんなに心配してくれてるから、自分は愛されてるんだ」と確認して、安心したいんだよね。

子どもが身につけるのは、意図しない「裏の教育」

あとは、叱ることによって子どもが「裏の教育」を身に付けてしまうという弊害もあります。

たとえば子どもがいくら言っても片づけをしないときに、「何度言ったらできるの!」って、いくら叱っても治らないんだよね。

その代わりに子どもが身に付けるのは、「なにかできていないことがあるときは、それを理由に、相手をとがめていいんだ」ということ。

子どもって、言うことは聞かないけれど、やることはまねるから(笑)。

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