しかし、アンテナではすべて提携メディアからフィード(送信)される情報しか掲載しない。かつては多様なパートナーからのコンテンツを扱っていたが、質の低いキュレーションサイトや、オリジナリティの低い報道サイトとの提携を打ち切ったこともあった。
「われわれはメディアではない。コンテンツを生み出すさまざまなメディアがあり、そこに掲載される情報と読者をつなぐ”マッチングサービス”。読者が読みたいと思える情報をキュレートして届けることがわれわれの役目で、届けるコンテンツの質にこだわる」(杉本社長)
アンテナは昨年10月にコンテンツパートナーを約400社から約250社に絞り込んだ。この際、契約を解除したのはハフィントンポストやTABI LABOなど「本質的に自分たちで(取り上げる記事の対象を直接)取材していないメディア」だった。実はこのとき、今回問題となったDeNAパレットのサイトとの契約も解除していたという。
「キュレーション」は社会悪ではない
大きくイメージを損ねている”キュレーション”という言葉だが、杉本社長は「キュレーションは情報の博物館であり、美術館。あるいはセレクトショップや、高級百貨店のフロアプランを作ることに近い。専門誌に専門以外の商品が(編集部の方針によって)掲載されたり、特定の感性に従ってジャンルレスに商品やサービスを選んで掲載されることがあるように、概念としては以前から存在しており、決して社会悪ではない」と断ったうえで、「必要とする有意義な情報に、より簡単にたどり着けるよう工夫する必要がある」と話す。そのために、来月にはアプリを大幅にアップデートし、左右方向にフリックしながらジャンルを横断しつつ、多様な情報を回遊できるよう設計の見直しが図られる。
同様のキュレーションサービスは、スマートニュースやグノシーも提供しているが、コンテンツパートナーを定量的に評価して絞り込むアンテナは、よりコンテンツの質に対して踏み込んだサービスと言えよう。
では杉本社長の目からは、DeNAパレットはどのように見えていたのだろうか。
杉本社長は「(多方面から指摘されている情報を見る限り)外部ライター、アルバイト、学生たちに執筆マニュアルを渡し、他情報サイトの記事からコンテンツを作って検索エンジンへの最適化を図る。何年も前から問題視されている”コンテンツファーム”を熟知したやり方だ。無断転載や盗用がある時点でわれわれのパートナーとしては不適格。一方、読者の視点では”中身がない”記事が多い。いわばパッケージデザインだけが立派な箱が並んだお店のようなもので、社会的に有益ではない」と手厳しい。
では、検索エンジンへの最適化はどのような影響があるのだろうか。
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