パクリ量産とクラウドソーシングの黒い関係 ウェブライターはなぜ買い叩かれるのか

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誰でも比較的簡単に始められるだけに…

(※)記事初出時、DeNAの「WELQ」に関して、ランサーズ社が執筆のディレクションをしているという表記が事実とは異なっていたため、本文の一部を訂正し、追記しました(12月19日11時追記)

「『働き方革命を起こす』『未来の働き方』などと夢のあることを言いながら、実際にはライターを低単価で買い叩き、質の低い記事やパクリ記事を大量生産するプラットフォームになってしまった」

20代後半の坂本武さん(仮名)は、みずからがウェブライターとして業務を請け負っているクラウドソーシングの実態を吐露する。

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クラウドソーシングはインターネットを介し、個人に仕事を発注するビジネス。坂本さんは大手クラウドソーシングのランサーズ社で、2014年秋からウェブライターの業務を開始。2015年からは大手のクラウドワークス社でも、同じくウェブライターの業務を受注するようになった。クラウドワーカーと呼ばれることもある働き方だ。

クラウドソーシング上の記事執筆は1文字0.1~0.5円程度の安価な案件もあったが、最近では1文字1円を上回る案件が増えてきている。坂本さんは「なるべく1文字1円以上の高単価な記事を手掛けたい」と仕事を探し、ランサーズ経由で出会った仕事が、あるキュレーションサイトのライティング業務だった。

またクラウドワークスでは、DeNAが手掛ける男性ファッションのキュレーションサイト「JOOY」のライティング業務を受注した。

掲載先は知らされず

クラウドソーシングの仕事には2通りある。一つが発注者と直接契約する仕事。もう一つが、クラウドソーシング業者が元締めとなって仕事を引き受け、個々のクラウドワーカーに振る仕事である。

坂本さんのJOOYの記事執筆については前者、もう一方のキュレーションサイトについては後者だった。「クラウドソーシング側のディレクターという元締めを通じて仕事をこなすため、提携先がどこのサイトかは教えてもらえませんでした」(坂本さん)。

(以下、追記)なお、坂本さんが行ったライティング業務について、初出ではDeNAの医療キュレーションサイト「WELQ」の記事と記載していたが、ランサーズからWELQについてはランサーズのディレクターを介する業務の契約はしていなかったとの指摘があった。前者のDeNAとライターが直接やりとりする業務の仲介が、WELQについてあったかどうかについては、「契約の関係上、企業取引については詳細は伝えられない」(ランサーズ)との返答であった。WELQ以外のライティング業務については、ランサーズのディレクターを介する業務の契約をするケースもあるという。

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