検索結果を疑わない人は、DeNAを笑えない 悪質サイト問題は「氷山の一角」だ

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「Googleの1〜3位のサイトより、クオリティの高い記事を世の中に公開していきたい」

これはDeNAが、傘下の健康・医療をテーマとするキュレーション(まとめ)サイト「WELQ(ウェルク)」の外部ライターに配布していた執筆マニュアルの文言である。他を圧倒する高いクオリティの記事を世に届ける、とは立派な志である。だが実際にDeNAが目指したクオリティとは、一般の記者・編集者が考えるそれとは大きく乖離したものだった。

DeNAがWELQを含む9つのキュレーションサイトを休止したのはすでに報じられている通り。「根拠が不明確な医療関連記事を載せていた」(12月1日の守安功社長名義のリリース)のが最大の問題で、具体的には「風邪には家系ラーメン(横浜市発祥の豚骨ラーメン)が効くかも」「肩凝りは幽霊が原因のことも」といった、民間療法とすらいえないような信頼性に欠いた医療記事が散見された。

「何を間違えたか」は一目瞭然

DeNAはこういった記事を生むに至った執筆・編集のプロセスを社内調査するために、「キュレーション管理委員会」を新設。委員長を務める守安社長は報酬も半年間、報酬を3割カット。改善策を講じるまでサイトは無期限休止になるとみられる。

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だが社内調査を改めて行うまでもなく、冒頭のマニュアルを読めば、DeNAが「何を間違えたか」は一目瞭然だ。「ライター用記事構成作成マニュアル」と題されたこの文書は、複数存在するライター向けマニュアルの中でも、執筆の根本ルールを示す肝要なものとされている。その1ページ目で真っ先に言及しているのが、冒頭の「クオリティ」だ。 

マニュアルによるとクオリティの高い記事とは、読者の欲しい情報が全て掲載されており、それを読めばほかのサイトをみる必要がない記事だという。この水準を実現するためにDeNAが具体的にライターに求めたのが、グーグルの検索結果1位から10位までのサイトをすべて閲覧し、その掲載内容にもれなく触れる記事を書くこと。つまり、上位サイトにある大見出し、小見出し、キーワードを漏れなく洗い出し、記事中で網羅するという仕組みだ。

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