検索結果を疑わない人は、DeNAを笑えない 悪質サイト問題は「氷山の一角」だ

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DeNAが外部ライターに提供していた執筆マニュアル。記事の信頼性を求める記述はなかった

さらに、検索結果ページの最下部に表示される「関連ワード」についても追加することも重要としている。たとえば頭痛という言葉をグーグル検索した場合、検索結果の1ページ目の最下部には「頭痛 吐き気」「頭痛 ツボ」「頭痛 花粉症」といった言葉が表示されている(12月4日時点)。この場合であれば、記事においては吐き気やツボ、花粉症という言葉にも触れなければならないのだという。マニュアルは全22ページあり、上記のほかにも詳細にわたって「クオリティを高めるためにやるべきこと」をライターに指示している。

一方で、このマニュアルにまったく登場しない言葉がある。「正確さ」と「信頼性」だ。大手メディアなら編集方針において最も重視するこれらの要素に、DeNAはマニュアルで一切触れていない。その代わりに別のマニュアル(「医療系記事作成マニュアル(疾患・病名編)」)で指示しているのが、文末に断定表現ではなく伝聞表現を使え、といったルールだ。サラダのようにキーワードを散りばめただけの、内容の信頼性をまったく考慮していない記事に対し、「らしい」「といわれている」という伝聞で締めくくることによって免責を図ろうというのだ。

DeNAはコンテンツの製造責任者だった

DeNAは自社のキュレーションサイトについて、「いわゆる新聞・雑誌のようなメディアとは異なり、誰でも自由に投稿が可能なプラットフォーム」(広報部)と説明している。

確かに、一般のネットユーザーが執筆・投稿した記事も一部にはあったようだ。だが実際には、クラウドソーシングを通してライター業務を請け負う人を募集し、上記を始めとする詳細な執筆ルールに沿って原稿を納品することを書き手に求めていたことが明らかになっている。DeNAは記事を公開する自由な場の胴元というよりも、コンテンツの製造責任者である。

また、ライターには1万字=400字詰め原稿用紙25枚分という長大な原稿がしばしば求められたが、これだけのボリュームに支払われる原稿料は5000〜8000円。既存の紙媒体なら数万円は払われるのが一般的な相場だろう。まさしくケタ違いの低さだ。この金額では、見識と経験のあるプロの書き手が引き受けることはありえない。この点においても、実勢に見合ったコストを払って製造責任を全うしようという姿勢がみられない。

ある面においては、DeNAのこの戦略は正しすぎるほど正しい。DeNAが目指したクオリティは、グーグルが求める「コンテンツ品質」の基準に即したものなのだ。

DeNAはグーグルのアルゴリズムが判断する「コンテンツの品質の高さ」を逆手に取った(撮影:今 祥雄)

グーグルの検索結果は改善に改善を重ねたアルゴリズムで導き出されている。以前は、他のサイトから多くリンクされているサイトが上位に表示されていた。だが、この仕組みを逆手に取り問題のあるサイトを上位に表示するSEO(検索エンジン最適化)手法が蔓延したことから、グーグルは近年、「コンテンツ品質の高さ」も検索順位の重要要素に取り入れている。

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