パクリ量産とクラウドソーシングの黒い関係 ウェブライターはなぜ買い叩かれるのか

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坂本さんはWELQやJOOYなどのDeNAの一連の騒動をめぐって白日の下にさらされた、検索上位になるためのSEO(検索エンジン最適化)対策だけを重視して不正確な記事を制作するプロセスについては問題があったと指摘する一方、クラウドソーシング側の構造問題にも言及する。

「記事の文字単価と質は、どうしても比例してしまうのでしょう。クラウドソーシングの登場によって1文字1円以下でライターを買い叩く土壌ができたことで、記事の質にしわ寄せがいった側面はあると思います」(坂本さん)

女性の4割がライター

クラウドソーシングを介した労働力の買い叩きがはびこっている現状は、これまでも問題視されてきた。今年2月には、クラウドワークスが決算時、月額20万円超のワーカー数が「111人」だったと公表。同社の登録者数80万人からすると、約8000人に1人しか20万円超稼げない計算となったため、ネット上で「クライアントが安く買い叩くためのサービス」と批判が巻き起こった。

坂本さんが手掛けていたようなウェブライターの仕事は、実はクラウドソーシングの中で多くを占める。クラウドワークスによると、女性クラウドワーカーの約4割がライター。プログラミングなどと比べると単価が安いため、「案件数ではいちばん多い」(同社)という。

本来、内容が専門的かつ正確でわかりやすく中立性、客観性、公共性、社会性などを担保するプロレベルの記事を書くには、綿密な取材も含めてさまざまなノウハウや一定以上の見識、経験が必要なはずだ。ただ、プログラミングのようなはっきりとした専門的な技術に比べると、日常でメールを書いたり、仕事の報告書をまとめたりなど、文章を書くことは誰でもできる汎用的な面も小さくない。

これがクラウドソーシングのライティング業務に多くのクラウドワーカーが群がってしまう構図を生んでいる。紙媒体だけしかなかった時代と比べ、インターネット上にはほぼ無限といってもいいほど、ページが作れてしまう。コストをかけずにページを作りたい業者と安くても仕事を受けるクラウドワーカーがたくさんいるという需給関係を考えると、単価の低い記事執筆の仕事が溢れてしまうのも構造問題といえる。

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