スマホの「ブルーライト」は何がマズイのか 害するのは「目」じゃなくて「健康」だ

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極端な話、夜更かしだろうが、朝食抜きだろうが、健康であればいいのです。しかし、そんな人は例外的な存在ですから、ほとんどの人にとって、スマホを夜遅くまで見ていることの弊害は、「寝不足によって健康を害すること」です。だからこの弊害に直結したルールを作らないと、問題は解決しません。

先ほどの「夜9時ルール」は睡眠時間の確保にまったくつながっていないため、失敗するのも仕方がないのです。では、どうすればいいのか。

弊害:寝不足で健康を害する状態

対策:質の良い睡眠を△時間以上、摂らなきゃダメというルール 

になります。これに「ルールを〇回破ったら、スマホは解約、没収」というペナルティでも加えておけば完璧です。

「やり方は任せるから、ちゃんと睡眠時間を確保するんだよ。もしルールを守れなかったら……わかっているよね」

こんな感じで、シンプルなルールを作ればいいのです。あまり細かい条件は付けないほうがいいです。なにしろ子どもは、ルールに物言いつけるのが仕事みたいなものですから、ルールが細かければ、「このルールの、この部分のせいで失敗した」と言い訳できる逃げ道を作ってしまいます。だから、なるべくシンプルにしましょう。

「やり方は任せるから」もポイントです。裁量権を与えられているんですから、失敗しても自分のせいです。言い訳できません。誰だって、裁量権を与えられれば「挑戦してみるか」という気になります。

軸はブレずに「弊害は何?」

ここでブルーライトの話に戻ります。質の良い睡眠のためにはどうすればいいのか。

「寝る前のブルーライトは質の良い睡眠を害する」ということを説明し、「寝る〇時間前にはスマホを見ない」「〇時以降はベッドにスマホをもちこまない」といった約束をしましょう。この約束を守った場合に限って質の良い睡眠と認めればいいのです。

うまくいかなかったら、なぜ失敗したのかを親子で話し合って検証し、改良していけばいいわけです。ただし、「寝不足で健康を害する状態」という弊害を取り除く、という軸を変えてはいけません。「ブルーライトは目に悪い(=スマホは目に悪い)からスマホの使用時間を2時間に限定する」といった方向にブレてしまいがちだと思いますが、それだと弊害(寝不足)を取り除くという本来の目的から離れてしまうのです。

この連載のタイトルは、「インターネットを正しく怖がろう」ですが、ブルーライトも正しく怖がるようにしてください。

小木曽 健 国際大学GLOCOM客員研究員

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おぎそ けん / Ken Ogiso

1973年生まれ、埼玉県出身。複数のITベンチャーを経て現職。書籍や講演、メディア出演などを通じて「ネットで絶対に失敗しない方法」やネットリテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。これまでに企業、学校、官公庁などで2000回以上、のべ40万人に講演。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)、『ネットで勝つ情報リテラシー』『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(筑摩書房)、監修に『13歳からの「ネットのルール」』(メイツ出版)他多数。

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