白熱教室:灘高は英単語をこう教えている

日本の英語教育を変えるキーパーソン  木村達哉(中)

わからない単語だけ&1日10個ずつはNG

よく電車の中で単語集をじっと眺めている高校生を見ると、頑張っているなとは思いますが、この子は頭の中でデクリネ(=decline)って言っている可能性がありますよね? 黙ったままだとそこがわからないので、必ずお手本のCD音声に従って声を出すようにさせてください。このとき、印がついたわからない単語だけではなくて、100個全部を読み上げるようにしていきます。

僕はこの単語集を作るときに、ある落ち着きのない脳科学者の本をたくさん読みました。彼の本には、「人間の脳は、記憶するために新情報が入ってくると旧情報を押し出す」と書いてありました。月曜日に1〜10、火曜日に11〜20、水曜日に21〜30と10個ずつというのは、まったく力のつかないやり方だということが判明したのです。

新情報が入ってくると旧情報が押し出される。だから旧情報をなんぼ覚えてもだめなんです。ただ、旧情報が“鉄板”になる条件があって、その覚えようとする情報が、個人のサバイバルにかかわるものだと脳が認識した場合は忘れないのだそうです。effort、dawn、supplyなんて単語はサバイバルにかかわるのでしょうか? 実は脳は何度も入ってくる情報に関しては、けっこう簡単にサバイバルに関係あると誤解してくれるのだそうです。「もしかしたら、こいつを忘れたら死ぬんじゃないか?」とね。

だから僕は、生徒にいつも「テストに出るから覚えなきゃなんて思ってやってもつまらない。脳をだますゲームだと思って何回も口に出してみろ」と言っているのです。

さらに、もうひとつ大事なことがあります。スリー・ウェーズとでも言いましょうか、3パターンで情報源にアクセスすることです。たとえば、電車の中で単語帳をガン見している高校生は目から見た情報しか入ってこない。これをもしCDで聞いたら耳、さらにその音声の後について自分で声に出したのであれば、+2で計3つになります。加えて紙に単語のスペルを書きつけたら4つになります! という感じで、アクセスを3つ以上にするのがポイントなんですって。

月曜日は英語を見て意味が言えるかをチェック。そして、繰り返し家でも自習をさせます。まずは英語を見たら、日本語の訳が速攻で言えるようになるよう、何度も反復練習するよう徹底させます。

火曜日になったら、英単語だけが見えるようして、また100単語読んでいきます。また、読めないもの、意味がすぐ出てこないものに印をつけていきます。月曜日よりもできない数は確実に減るはずです。

そして、火曜日はeffortの欄にある、Make efforts to realize my dreams.といったセンテンスまで読ませて、頭の中で訳せるようにします。この翻訳作業もダラダラとはやらず、クイックさを求めて5分をメドにやらせます。

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