白熱教室:灘高は英単語をこう教えている 日本の英語教育を変えるキーパーソン  木村達哉(中)

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ディクテーションで聞いた音を全部書き取る

では、次はオーソドックスなリスニングの授業に入っていきます。これも僕が作ったCD付きのリスニング教材を使ってやっています。灘では中学2~3年の頃は4回、5回と何度も聞かせますが、高校生になったら基本は1回だけにしています。ですが、何度聞かせるかは各校の生徒さんの力に合わせ変えてもらえばいいと思います。

次はディクテーションですね。初期段階はディクテーションをやったほうがいいでしょう。なぜかというと、自分が聞き取れていないのがどこかが一目瞭然になるからです。何となく聞き取れた気になっている生徒っているんですよね。でも実際にディクテーションをやらせてみると穴だらけで、ほとんど理解できていない。そんな事実が判明することがよくあるのです。

センター試験のリスニング問題は4択なので、すべてを聞きとれなくても正解を引き出すことができます。でも、実生活で英語を使う際に4択という状況はほぼないでしょ? たまたまセンター試験の教材を使っていたから、正解が合っていたから、という理由で「リスニングができる」とするのは、危険です。だから、ディクテーションをさせて、部分的にではなく全部の意味が拾えるようにしているのです。

僕はディクテーション指導するときは、必ず「すべて書け」と言います。聞き取れないのに書けるわけないと思うでしょ? でも、聞き取れない部分はカタカナでもいいので、聞こえたとおりに書かせるんです。聞き取れなかった部分は弱点ですからね。

実は配布したディクテーション用のシートに「六甲ルーオ」と書いたやつらがいました。ぼくの指示どおりカタカナで聞こえたままに書き記したんですね。ま、漢字まで駆使していますけれども(笑)。正解はlocal ruleなんですけれども。聞き取れないのはしょうがない。これは、この子らの弱点です。そして初めて、localという単語は発音記号ではローコーになるけれども、160、170、180wpm(Words Per Minute:1分間に英単語がいくつ発せられるかという、リーディンのスピードの指標)になったら、六甲ルーオに聞こえると体感してくれる。そのためにディクテーションするわけです。

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