白熱教室:灘高は英単語をこう教えている 日本の英語教育を変えるキーパーソン  木村達哉(中)

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学校でiPod禁止はナンセンス

月、火は英語を見たら意味が言える。このトレーニングをひたすらやります。水曜はCDを使うので、火曜日は必ずCDを使って予習をしてくるように伝えます。

今、学校現場で残念なのは、iPod禁止という学校が非常に多いことです。これは非常にもったいない。ぼくは各学校で英語科が力を合わせ、iPod禁止を禁止すべきだと思うのです(笑)。禁止の理由は「音楽を聴くから」とかなんですよね。授業中に聞くのはダメですけれど、それ以外だったらいいじゃないですか。使い方を間違えるかもしれないから禁止というのは、「赤信号をわたるかもしれないから信号禁止」と言っているのと一緒で、危険な考え方じゃないですかね?

水曜日は、生徒が予習したと仮定してCDを流します。CDは日本語訳がまず出てくるので、クイックでそれに該当する英単語を声に出して言う訓練をします。

こんなふうにやっていくと木曜日ぐらいで、日本語から英語、英語から日本語のどっちで聞いてみても、速攻で答えが口に出てくるようになる。言えない場合は、解答を聞いたら、その後に続いて声に出す訓練を続けていきます。

僕の授業の場合1~2週目は単語だけをやりますが、3週目からは始めからCDを使ってフレーズをやります。たとえばeffortという単語なら、「私の夢をかなえるために努力する」→Make effort to realize my dreams.というフレーズをCD音声で繰り返し聞くようにします。これも「覚えろ!」とは言わずに、iPodを使って何度も反復練習させるようにします。そして、最終的には、日本語の例文が出たら、英文が読み上げられる前に、自分で英語のセンテンスが言えるようになるのを目指していきます。

高1のときに『ユメタン』1冊を使って、こんなふうに単語の勉強を徹底してやってから、センター試験のリスニングをやらせてみました。すると、学年平均が43点ありました(50点満点中)。それで、単語の勉強をちゃんとやれば、リスニングもできるということがわかりました。

単語指導は、リスニングの基本だと思っています。今でもCDがない教材を使って勉強している生徒が多いようです。明らかにCDを使っている生徒と比べると差をつけられてしまいます! 単語の発音を目で見て覚える生徒と、耳で聞いて勉強する生徒で差がつかないはずがないですよね?

iPodが禁止なら、電子辞書に入っている音声機能を使って単語を覚えるのでもいいでしょう。ちなみに今はカシオ、キヤノン、シャープのどの電子辞書にも『ユメタン』が音声付きで入っていますので、効果的に使ってください。

とにかく、音声を使って単語を覚えることが、リスニングの本格的なトレーニングの前に必要です。頭で知っているというよりは、耳で、体で聞いてわかる感覚が大切です。

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