白熱教室:灘高は英単語をこう教えている 日本の英語教育を変えるキーパーソン  木村達哉(中)

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英語の先生方に声を大にして言いたいのが、「CDの付いていない単語集を使うのは、もうやめませんか?」ということです。CDがないと我流で発音するから間違った発音しか身に付かず、生徒のリスニング力がつかないのです。

でも、最近はやっとCD付き単語集を採用する学校が増えてきたようです。これは日本の英語教育にとって大きな一歩です。ただし、先生はCDをどう使うかも説明できるようにならないとダメ。「CD聞いとけ」だけでは不十分です。どう使うかの説明は、このあと説明するのでもう少し待ってください。

木村達哉/きむらたつや
灘中学校・高等学校英語教師
『夢をかなえる英単語 ユメタン』(アルク)『夢をかなえる英文法 ユメブン』(アルク)『キムタツ式英語長文速読特訓ゼミ』(旺文社)『灘校生が実践しているTOEICTEST900点を当たり前のように取るためのパワ フルメソッド』(角川書店)など英語学習書の著書が多数ある。また、英語学習にまつわる講演を全国で積極的に行っている。オフィシャルサイトでは、日々の活動や英語指導者向けのアドバイスなどを網羅したブログも更新中。

僕が受験生のときは、単語集を配布されて「来週月曜に単語テストをやるから覚えてきなさい」と言われるパターンでした。effortと書いてあれば隣の空欄に「努力」と書く単語テストです。自分が教員になってからもこの方式を踏襲しましたが、生徒はなかなか覚えない。

また、灘高の3年の授業である生徒が「先生、デクリネという単語なんですが〜」と質問してきました。これはdecline(ディクライン)のことですね。この子は成績もよくて東大に行きましたが、高3でデクリネと言っている。バセバ11(=baseball)を笑えないでしょ?

リーディングの授業をやってリーディングの力を、英作文の授業をやってライティングの力を伸ばしてあげるのと同じように、単語の授業をしないと、単語の力は伸ばしてあげられないと思ったのです。

たとえば「instrumentという単語は最初のiにアクセントがあるんだよ。覚えておきなさいね」と発音に関するアドバイスをする。また、発音アクセント頻出一覧のようなものを配って、センター試験対策をペーパー上でやるのではなくて、実際に声を出して発音させる。そんなことが大切だと思うのです。なので、授業の最初の7、8分を単語の時間に充てています。

まず約100の単語を2分かけて、全員で声に出して読んでいきます。unitと呼んでいる単語帳のページには発音記号とカタカナもついているので、読むときにそれらを参考にすることも可能です。

終わったら、今度は訳と英単語だけしか書かれていないページに移って、また1から英単語を音読していきます。そのとき訳がクイックで出てこない場合は、チェック欄に印を入れていきます。そして、印の数を数えて、スコア欄に書き込みます。

最初にやると9割方印がついてしまったという生徒も出てきます。でも、いいんです。生徒たちにはこの2分の作業を、何回も繰り返させます。覚えようとしなくてもいいので、必ず声を出してやるように徹底させます。

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