日本人が知らない「トランプ熱狂支持」の真因

200年続く「伝統的思考」が何度も甦らせた

トランプの名はカネで測ることのできる「成功」の代名詞に(写真:AP/アフロ)
いよいよ11月8日(米国時間)に決着を迎える米大統領選。ABCニュースとワシントン・ポスト紙が10月27~30日に行った世論調査によると、支持率はトランプ候補が46%、クリントン候補が45%と拮抗。勝負は最後まで分からなくなっている。
そんなトランプがここまでのし上がってきた背景には何があるのか。『熱狂の王 ドナルド・トランプ』の著者であり、ピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストがルーツに迫る。

テレビカメラの注目を集める

その夜、テレビに横顔を映されたドナルド・トランプは、タキシードを着たおんどりにしか見えなかった。「ヘルメット」の呼び名で知られる彼の金髪が額からうなじにかけて曲線を描き、鶏のとさかを思い起こさせる。

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本物のおんどりなら、とさかには雌の目を引き、敵を威嚇する働きがある。2011年のホワイトハウス記者クラブ主催の晩餐会で、支持者や批判者たちとともに席に着いていたトランプの場合は、テレビカメラの注目を集める働きがあった。おかげで、コメディアンのセス・マイヤーズと現職のアメリカ大統領の両方が「余興」の名の下にトランプをさんざんネタにする間、彼の反応がカメラにとらえられたのだった。

トランプが苦痛を感じている様子がうかがえたのは、マイヤーズがたっぷり2分半、彼をバカにしている間だけだった。出席者たちが笑い声を上げ、背伸びをしてトランプの姿を見ようとしているときに、彼は人を殺せそうな視線をマイヤーズに向けていた。同じテーブルの出席者たちが笑いをこらえ切れなくなっても表情を変えず、にらみつけたままだった。

そして、「オバマ大統領がアメリカ生まれだと確信している人が国民の38%しかいない」との調査結果にマイヤーズが触れたところで、トランプがネタにされていた理由が明らかになる。アメリカには、「大統領はアメリカ生まれでなければならない」という憲法規定がある。そのため陰謀論者たちは、大統領の出生地に関する調査の結果を捏造し、「オバマは大統領になる権利のないよそ者だ」と主張していた。

トランプは、長い間、熱心にこの「バーサー主義(birtherism)」を広めようとしてきた。そのため彼は、「バーサー論は非建設的で、人種差別的ですらある」と考える人々の批判の的になっていた。トランプはそうした批判に対し、自分は偏見にとらわれているわけではなく、重大な疑問を提起しているだけだと反論し、「私は人種差別から最も遠い人間だ」と主張していた。

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