日本人が知らない米大統領選「拮抗」の理由

「トランプが嫌い」では米国の実像を見誤る

米大統領選挙で見えたのは超大国の変質だった(写真:アフロ、Getty Images)

11月8日、いよいよ米大統領選挙が行われる。ABCニュースとワシントン・ポスト紙が10月27~30日に行った世論調査によると、支持率はトランプ候補が46%、クリントン候補が45%と拮抗。本命と言われたクリントン候補を最後まで追い詰めるのがトランプ候補になるとは、当初、誰も予想できなかった。

今回、週刊東洋経済が「NTTコム リサーチ」の調査協力で行ったアンケート(有効回答数1022件、年齢層別の均等回収)で、「トランプ氏とクリントン氏のどちらに大統領になってほしいか」と聞いたところ、クリントン氏と答えたのは全体の9割。トランプ氏はわずか1割で、日本人にはとことん不人気だった。

だが、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏は、日本国内での大統領選挙の見方について「トランプ氏がカリカチュア化(人物の性格や特徴を際立たせるため、誇張したり歪曲を施したりすること)されすぎていた。それでは、なぜトランプ氏が共和党候補として支持を集めたのが見えてこない」と指摘する。

日本人は本当に「親米」なのか

佐藤氏の米大統領選挙の分析は、「既存の秩序が維持されたほうがいいと思う人はクリントン候補を支持し、秩序が変わったほうがいいと思う人はトランプ氏を支持する」と単純明快。そうした観点で米国の世論調査結果をみると、現状維持と変化を期待する声が拮抗しているともいえる。

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また、ここ数年の世論調査から見て取れるのは、米国の内向き志向の高まりだ。今回の大統領選挙は中傷合戦に終始したが、TPP(環太平洋経済連携協定)だけは、両候補ともに「反対」で一致していた。どちらの候補が大統領になっても、米国は内向き志向を強めるだろう。その時、日本はどう付き合っていくべきか。週刊東洋経済は11月12日号(7日発売)で『日米関係の大不安』を特集。戦後の両国間の歴史を振り返り、日米関係の現状を安全保障、外交、経済などあらゆる面から検証した。

そもそも、日本人は米国に対してどんな思いを持っているのか。内閣府の世論調査(調査時期2016年1月)では、「米国に親しみを感じるか」との問いに対して、84.4%が「親しみを感じる」(「親しみを感じる」が43.4%、「どちらかというと親しみを感じる」41.0%)と答えている。これだけ見れば親米そのものだ。一方、週刊東洋経済のアンケートで「日本と米国は対等なパートナーだと思いますか」と聞くと、「対等でない」と答えた人は全体の66%を占めた(「対等だ」は14.2%)。

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