日本人が知らない「トランプ熱狂支持」の真因 200年続く「伝統的思考」が何度も甦らせた

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そうこうしている間に晩餐会は佳境を迎える。オバマ大統領は自分の出番になると、バーサー論者に正面から、しかし見事なユーモアを交えて立ち向かい、「私の公式誕生ビデオだ」と言ってアニメ映画『ライオン・キング』の一場面を流した。それからトランプを名指しし、彼がテレビのバラエティ番組『アプレンティス』の司会者として「私なら夜も眠れなくなるような決断」を下していると称賛した。さらに、バーサー問題が解決されれば、トランプは「大事な問題に集中できるようになる……たとえば、われわれが月面着陸を捏造した件とか」と笑いを加えた。

自分より社会的地位が高い人間からの挑発を前に、トランプが殺意の視線を向けることはなかった。代わりに彼は、ごくわずかながら口角を引き上げ、大統領に手を振った。冗談を受け入れたのだ。そして夕食会の後、平静を装いながら、「非常に丁重に扱われた。冗談のネタにされ、からかわれたが、自分が話題になったのだし、それは多分、悪いことではない」と大統領の関心を引いたことが成功だったかのように語っている。

「みんなの味方のお金持ち」を演出するイメージ戦略

トランプは40年近く、アメリカで何かと話題にされてきた。彼ほど、長きにわたり有名であり続けている財界人はほかにいない。ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズ、ウォーレン・バフェットでさえ彼には及ばない。1970年代に派手な不動産開発業者として認知され、ほどなく、その名はカネで測ることのできる「成功」の代名詞になった。

彼は高層ビルやカジノ、ビジネスジェット機に(通常、金色の大文字で)「TRUMP」と書いて自らをブランド化し、ドナルド・トランプという一個人を、数え切れないほど多くの商品・サービスと結びつけた。ホテルの部屋や家具、ネクタイ、肉……とにかく「高品質・高価・高級」な品として売れそうなものなら、何にでも自分の名前をつけた。

トランプは、自分自身が実はアメリカの最富裕層の家庭の生まれであることをうまく隠しながら、上流階級に生まれついた人々を「ラッキー精液クラブ」と呼んで遠ざけ、新興の富裕層や成功を志す人々の需要を満たした。「上流階級を相手にしない、みんなの味方のお金持ち」というイメージをつくり出したのだ。

高いマンションを売るために「お高くとまった連中を嫌うドナルド」を演じるのをやめることもあったが、それでも、本当の彼の心はアメリカ中産階級とともにあるのだと信じる人間も多かった。そういった人たちこそ、彼が出るテレビ番組に好んでチャンネルを合わせ、選挙に打って出れば彼に投票するという層だ。

手元のデータによれば、アメリカ国民の96%がドナルド・トランプの名前を知っているが、その大多数が彼を嫌っている。2014年にドナルドの地元ニューヨーク市で行われた調査では、彼を快く思わない回答者が61%いた。

それでも、トランプの考えや振る舞いを熱狂的に支持する人々がいる。アメリカン・ドリームをはじめ、さまざまな理想をトランプが体現していると信じる人々だ。そうしたイメージは、彼がテレビ番組の司会を務め、ツイッターで頻繁にコメントを発信するうちに強まった。今や彼はツイッターで1200万以上の人々からフォローされ、多くの人から「大統領になってほしい」と懇願された。

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