察するに、あなたの職場では、女性社員が妊娠する、という経験が少ないようです。あなたにとっても初めての妊娠、職場にとっても経験の少ない女性社員の妊娠。それで双方が戸惑ってしまう、ということはよくあることだと思います。
「妊娠は病気じゃない」とよく言われますが、本当は「病気のように治療できるものではないから、余計に大変だよね」という意味なんですって。「病気じゃないんだから、大変ぶるな」ということではないようですよ。
妊娠することで、女性の心身は大きく変化します。「一般的にこうなる」ということはあっても、その通りにいかないことも多くて、辛さも人それぞれです。それどころか、同じ自分が妊娠しているのに、一人目と二人目でまったく違う状況、ということもよくあります。その変化を受け止めるだけでも大変だし、変化に翻弄される自分にもイライラしてしまいますよね。嬉しくて幸せなことなのに、心配事でいっぱい。すごくよくわかります。
過剰に自分に厳しくする必要はない
でも、過剰に自分に厳しくする必要はないのではないかなと思います。産休に入るまでは、これまでとまったく同じように仕事をしようと決意したとしても、できる人とできない人がいる。また、昨日はできても、明日はできないことだってある。できないことで自分を責めるとどんどん苦しくなってしまいます。できる人が偉くて、できない人はさぼっている、というわけじゃないのですから。
私は、この何とも言えない罪悪感のような気持ちの根っこは、無意識に、「こうあるべき」という偶像が刷り込まれているからのような気がするのです。「妊娠は病気じゃないんだから、頑張らないといけない」「生まれるギリギリまで働かないと無責任だと思われそう」みたいな刷り込み。さらに、「普通に仕事ができないかもしれない。周囲は迷惑がっているのではないか」という思い込みがあったり。周囲も、「妊婦さんだから」と自分の少ない知識の範囲で対応しようとする。これでは、お互いの気持ちはどんどんすれ違ってしまうばかりです。
あなたは、体調がいつもいいとは限らないし、残業まではきついと思いつつ、「妊婦だからって変な気遣いをせずに仕事を任せてもらいたい」とも思っているようです。それは、今は比較的体調がいいからかもしれないし、自分に刷り込まれた「ねばならない」に無理に対応しようとしているのかもしれない。そうやってなんとか必死で頑張っているのに、何の気遣いもない態度で仕事を頼まれると、「妊婦が頑張っているのに」と思ってしまうことがある。やはり、それはどこかで無理しているからなのではないでしょうか。そして、その状況や気持ちをうまく共有できないからこそ、「わかってくれない」とイライラしてしまう。そうした状況を続けるより、私は、どこかであなたが自分にもっと正直になってみることが必要な気がします。
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