職場の妊婦は、なぜこんなにも辛くなるのか 思い込みで自分を追い詰めてはいけない

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それからはなんだか意地になってしゃかりきに働いてしまいましたが、何事もなくて良かったと、今となっては無理していた自分を叱りたい気持ちもあります。そばでタバコを吸うとか、重いものを持たせたり走らせたりだとか、休憩のない会議だとか、そういった気遣いのなさには、「気遣ってください」と言って当然なのです。それなのに、自分自身が「妊娠前と同じように仕事をしたい」のなら、妊婦として気遣ってもらうことまでも遠慮しないといけないような気分になってしまっていた。まったく別次元の話なのに、です。

体調や状況、気持ちを伝えるべき

あなたの変化、あなたの危険、それはあなたにしかわかりません。妊娠だってマニュアル通りにはいかない、一つひとつ特別なものなのです。察して正しく気遣いしろ、というのはとても難しい。でも、職場の人たちにも気遣いしたい気持ちがきっと強くあるはずです。何もかもぶちまける、というのはなんとなく気恥ずかしいものですが、上司や先輩などに、自分の体調や状況、気持ちを伝えるべきだと思います。「どうしてほしいのかよくわからない」ということだって、大事なあなたの気持ち。刻々と変化していく心身とともにあるのですから、「さあ、こうしてください」と言えなくて当然です。

「妊婦だからって」とか「妊婦なのに」とか、あなたが持つ思い込みや美学はいったん横に置いたほうがいいと思います。「今はこう考えている」「状況が変化した」と都度都度会話して一緒に考えてもらえばいいのです。気遣いをしてもらったら、嬉しい時は「ありがとう」「嬉しい」、気遣って欲しい時は「できたらこうしてほしい」と、いちいち言葉にしてコミュニケーションしてみる。こちらから心を開くことが相互理解の第一歩だし、そこからしか心地よい職場環境は生まれないような気がします。

ひとりで抱え込んで、頑張りすぎなくていいのですよ。人生で何度も経験するとは限らない、とても特別で大事な時間です。世の中にはいろんな人がいますが、わかりたいし、応援したいと思っている人も少なくないはずです。思い込みで頑張りすぎると、孤独になっていってしまいます。

思い切って自分を開放してみてはどうでしょう? 「職場を巻き込んで職場にも経験値を与えてあげよう」くらいの気持ちになれたら、あなただけの幸せなプレワーキングマザー期を楽しめるかもしれません。くれぐれも、無理しないで、頑張ってくださいね。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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