マック、最強の秘密は「3本脚のいす」?
マクドナルドがここまで従業員教育に熱心な理由には、「3本脚のいす」という考え方がある。いすは最低でも3本の脚がないと立つことができない。創業者のレイ・クロックがサプライヤー、フランチャイジー、従業員の3者はマクドナルドにとって必要不可欠な存在であるとして、3レッグスツール(3本足のいす)と呼んだことに起因する。
マクドナルドはマクドナルド兄弟が設立したハンバーガー店からスタートした。マクドナルド兄弟はハンバーグの重さを1つ45グラム、ケチャップは10グラムと商品を規格化した。商品を素早く作るためにベルトコンベア方式の生産方法を導入するなど、効率化を進めた。
レイ・クロックは非常に苦労した、たたき上げのビジネスマンだった。もともとはミルクセーキを販売するセールスマンで、自身もサプライヤーとしてマクドナルドにかかわっていた。1954年にマクドナルド兄弟に出会ったとき、清潔かつ衛生的な店舗で、ハンバーガーが手際よく提供されていく様子に感動し、翌55年にフランチャイズとして、出店を果たした。
レイ・クロックはセールスマンとしての経験と、自分がフランチャイズオーナーとして独立した経験から、Win-Winの関係を作らなければ、うまくいかないことが経験的にわかっていた。従業員満足度を上げて、顧客満足度を上げれば、売り上げが増え、利益がついてくる。そのためにはこの3本の脚がバランスよく強くなっていることが必要になる。
マクドナルドには完成されたビジネスモデルのひとつとしてマックバカを作り出す仕組みがある――。もっとも鈴木氏は「そういったもの(注マックバカ)を量産するために教育システムは作られたわけではない」と釘をさす。
「効率化はまねできても、3本の脚という経営理念に思い至らなかったチェーンは多い。これこそがレイ・クロックのアートだ」(鈴木氏)。世界119カ国に3万店以上を展開するマクドナルド。強さの秘密はシンプルな中にも、人の教育を追求してきた仕組みにありそうだ。
(撮影:尾形 文繁)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら