外食の巨人――店舗数や売上高では他社を圧倒するマクドナルド。外食企業の最大手として、「メガポテト」や「プレミアムローストコーヒー」の投入など、つねに話題を集めている。一方で、24時間営業店や店長の未払い残業代の問題で労働環境には悪い印象があり、両極端のイメージで語られてきた。
はたしてそれは、本当のマクドナルドの姿を写しているのか。マクドナルドに20年以上勤め、退職して新たなキャリアを歩むOBたちは、過去を懐かしみ、せきを切ったように“俺のマクドナルド”を語り出す。
マクドナルドには「マックバカを育てる土壌がある」と、OBで、現在は人材コンサルタントとして活躍する鈴木健一氏は指摘する。鈴木氏はマクドナルドの人材研修機関ハンバーガー大学で副学長を務めた。マックバカの育て方すべてを知り尽くした人間だ。
鈴木氏も店長時代は食材が切れるとなれば、深夜であっても40キロメートル先の店舗までクルマで飛ばして取りに行ったマックバカ。ただ鈴木氏も入社前からマクドナルド一色だったわけではない。多くのOBが指摘しているように、マクドナルドはQSC(注:クオリティー、サービス、クレンリネスの頭文字で飲食店の基本姿勢)を現場でたたき込むと同時に、いつのまにかマックバカに変えてしまう環境を持っている。その理由はどこにあるのか。
鈴木氏は「マクドナルドの研修はリーダーのあるべき姿を追求することに目的がある」と断言する。通常の企業は課長や部長など職種があって、研修が実施される。マクドナルドの場合は求められるリーダー像があり、各職種に応じた研修が用意されている。通常の企業の逆だ。
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