マクドナルド最強の秘密は「3本足のいす」? マックバカの作り方、教えます

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このリーダーシップの考え方は、どんな職種や階層でも通用する。そのため、マクドナルドではハンバーガー大学という社内大学で、テーマを変え、立場を変え、何度も研修を行うことで行動原理として浸透させていく。

ハンバーガー大学とはマクドナルド内にある社内大学のことだ。ハンバーガーの作り方を教える場所ではない。QSCは現場でたたき込み、ハンバーガー大学ではコミュニケーションやリーダーシップを教える点に特徴がある。

日本では1号店のオープンより1カ月前の1971年6月に開講した。マクドナルドは世界119カ国で展開するが、ハンバーガー大学があるのはアメリカ、日本、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ブラジル、中国の7カ国だけ。日本の場合は本社のある新宿アイランドタワー38階に置き、年間1.4万人が受講する。ハンバーガー大学は現場を熟知している社員が配属される。元ハンバーガー大学の学長だった有本氏によれば、ハンバーガー大学は「マクドナルドの象徴」ともいう位置づけで、人気のある部署だという。

マックの強みは学習環境にあり

マクドナルドの強みはこうした研修がきちっと確立されており、なおかつ「学習環境のデザインが確立されている」点にある、と鈴木氏は説明する。

アルバイトのリーダーであるスウィングマネージャーや会社に入ったばかりのマネージャートレーニーは2コマ、その他の従業員や店長は1コマの授業を受ける必要がある。内容はそれぞれの地位によって違うがおよそ3〜5日間にわたり、店舗での実習やロールプレイングなどさまざまな研修内容を実施する。

最初はマクドナルドのことを何も知らずに入ってくる。そこでマニュアルに沿って日常業務を覚え、コミュニケーションの取り方やミーティングの仕方を学ぶ。そこである程度、業務のやり方が見えてきたところでハンバーガー大学の研修を受ける。

一般の企業では日常業務と研修のゴールが合致していないケースが多い。マクドナルドの場合、研修のゴールと自分自身の業績目標、実際の実務すべてが結び付いている。それだけではない。研修の効果を最大化するために上司が研修内容を確認し、フィードバックする制度を設けている。

こうして研修を受けた社員だけではなく、上司など周囲を巻き込んで組織全体が教育に取り組む姿勢が、ほかの外食チェーンとの大きな違いとなっている。

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