日本式の”とんかつ”が、中国人を魅了する

おでん、医療、美容師……日本式サービスは、中国人に受ける

日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。このコラムでは、北京電通に 7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。
今年3月5日に北京でオープンした、とんかつ専門店「さぼてん」。早速、中国人の客で店があふれている。

駐在員への朗報。「さぼてん」北京に出店

日本人が北京に住んで強烈なフラストレーションを感じるのが、サービスのひどさです。むろんここは外国ですから多くを望めないのは承知のうえですが、せめて「普通」のサービスを受けたいと思っても、銀行、ホテル、商店、スーパー、ゴルフ場などどこでも、設備は一流であっても、接客サービスがどうしようもなく感じが悪いのです。

中国語で「服务员(フーウーユエン)」と呼ばれる、店員や係員たちの仏頂面でやる気のない態度と粗雑なサービスは、企業がすべて国営だった頃の「売ってやる」態度の名残だと思われます。ですから、そもそも「相手を気分よくさせる」ことの意味がわからない。加えて、安い給料ではやる気も出ないのでしょう。さらに言えば、サービスとは顧客のレベルに応じて発達するものですから、当地で求められるサービス水準が「こんなもの」だという現実もあります。

そんな状況に辟易している私たちへの久々の朗報が、最近、ある高級ショッピングモール内にオープンした日本のとんかつ専門店「さぼてん」です。明るく清潔な店内、日本と同レベルの料理(熟成豚肉使用、すりゴマソース付き、ごはん、キャベツ、みそ汁、香の物お代わり自由)、てきぱきと感じのよい店員の接客態度など、すべて合格点です。7年住んでいる私から見ても、そんなまともなお店が「やっと北京にもできた」と感慨深いのですが、日本の方とお話していると実は皆さんすでにご存じで、足繁く通っているようです。

ただし、店内を見渡すと実はお客さんの大半は中国人です。巷の中華料理店内のような騒々しい動物園状態ではなく、皆おとなしくスマートに食べています。こちらの感覚で言うと「日本に滞在経験のある中国人」のような落ち着いた雰囲気のお客さんが多いのに気づきます。日本式サービスの良さは中国人にも伝わりますし、その教育的効果によって中国のお客さんの振る舞いも洗練されてくるものです。そしてそれに慣れてくると中国式にはもう戻れません。

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