日本発のサービス業にチャンスはあるか?
このように、優れたサービスで中国人顧客を吸引するチャンスは大いにあると思います。
たとえばヘアサロン。北京にも日本人経営で日本人スタイリスト中心のヘアサロンが増えています。オープン時は現地在住の日本人が主要顧客ですが、やがて中国人プチ富裕層がお店に来るようになります。中国人をつかむポイントは技術と接客です。日本では一般的な腕前のスタイリストでも、こちらに来れば最新技術の持ち主となりますし、日本の流行やメークまで含めた総合的なカウンセリングができる希有な存在となります。
技術に加えて重要なのが接客・コンサルティングです。ヘアスタイリングの提案をするだけでなく、お客さんと中国語でカジュアルに会話できる能力が必要です。以前は通訳を介して客と意思疎通を図ろうとするスタイリストも見られましたが、それでは客の信頼を得にくいのです。ビジネスの世界とまったく同じで、中国のお客さんを捕まえたければ、最低限中国語で直接お話できないと商談のスタート台にも立てません。
流通小売業はどうでしょう。流通は地域密着のローカル系企業やスケールで圧倒するグローバル系にかなわないと思いがちですが、そうでもありません。こちらのスーパーは店により品ぞろえに偏りや不備があり、欲しい商品カテゴリーの取り扱い(たとえば芳香・消臭剤、ウェットティッシュ、粉ミルクなど)がなかったり、定番ブランド商品の扱いがなかったり、あるいは欠品の放置、乱雑な陳列、いい加減な鮮度管理など、日本では当たり前の在庫管理や棚の管理ができていません。いつ行っても売れ筋の欲しい商品が安定的に供給されている店なら、日本ブランドの小売店でも中国ローカル店に勝つチャンスは十分にあります。
また、新カテゴリー製品の提案によって中国人顧客を引き付ける例も出ています。たとえば日本式の「おでん」。辛味大好きの中国人に、和風で醤油ベースのおでんが受けるとは思えなかったのですが、北京のセブン-イレブンでは人気商品になっています。朝食代わりに食べているOLも見掛けます。
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