中国の広告市場、ショートムービーが大人気
レノボ、東芝、ペプシのショートムービーが大ヒット

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日本の製品は、高い品質を誇りながら、中国マーケットにうまく食い込めていない。その最大の理由は、ブランド戦略の甘さにある。この連載では、北京電通に7年駐在し、グローバル企業のブランド戦略のコンサルティングを手掛ける著者が、中国人の心を掴むためのブランド創りを解説。ビジネスの現場で起きている事実をベースに、実践的なブランド戦略を発信する。
中国のパソコン市場でトップシェアを持つレノボ。ショートフィルムによるブランド戦略で、消費者の心を見事につかんだ(写真:Imaginechina/アフロ)

中国人の心を掴んだレノボの名作

インターネットユーザーが5億人を超える中国では、広告メディアが急速に変化しています。

企業が使う広告費を見ると相変わらずテレビが最大ですが、商品広告や企業ブランド・コミュニケーションの手段は、伝統的マスメディアからデジタル系パーソナルメディアへとシフトしています。特に中国の若者はテレビ離れが顕著で、「优库(ヨウクー)」などの動画サイトや、国内外の映画・ドラマがなぜか無料で見られるサイトが人気を集めています。

このようなトレンドに乗って人気を集めているのが、「微电影(ウェイディエンイン)」と呼ばれるインターネット用のショートムービーであり、その代表的な成功例がレノボの「爱・在线(Always Online)」です。

中国のパソコン市場で30%以上のシェアを持つレノボは、中国人なら誰でも知っているブランドですが、PCのコモディティ化の進行とともに、レノボブランドが内包する価値が薄れてきたのも事実です。そこで、レノボは「ideapad」ブランド商品の販売促進とレノボのブランド価値の伝達手段として、2008年からインターネット用ショートフィルムを制作し、ホームページや動画サイト経由で提供を始めました。

中でも大ヒットとなったのが、約6分のショートムービー「Always Online」です。このフィルムは純粋な広告ではありませんが、登場人物の通信手段としてレノボのPC「ideapad」が登場します。もちろん、レノボの提供クレジット付きで、視聴者はレノボを意識しながら楽しむことになります。いわゆる「ブランデッド・エンターテインメント」です。

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