中国の広告市場、ショートムービーが大人気
レノボ、東芝、ペプシのショートムービーが大ヒット

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今年も続編が展開されました。春節を翌日に控えて長距離バスで帰郷する途中、豪雪の山中で雪崩に遭遇し進路を阻まれた乗客たちが、あたかも大きな家族のように助け合って困難を乗り越えるという感動的なドラマです。2年続けて大きな話題を提供したペプシのキャンペーンは、中国の春節の新たな風物詩となった感があります。

ブランドに必要な人間味

こうしたショートムービーの成功は、広告メディアの変貌だけでなく、広告メッセージやコンテンツの変化も意味しています。ほとんどのカテゴリーで、商品があっという間にコモディティ化する現代社会においては、商品属性をメッセージとしたコミュニケーションでは消費者の関心を得るのが難しくなっています。

それに代わって、世の中に商品を送り出している企業自身がどのような価値観を持ち、何を志向しているのかを伝えることによって、企業や商品への共感を獲得するアプローチが増えています。そこでは、ブランド戦略論で言う「ブランド・アイデンティティ」の確立、とりわけ「ブランド・パーソナリティ戦略」が重要になります。

ブランドは機能的ベネフィットを代表するだけでなく、明確な個性や独自の立ち居振る舞いを持った人間くさい存在として社会に受容され、社会のニーズと共に育っていくべきものです。他人から愛されたいと思ったら、まず自分がキャラクターを持たなければなりません。企業や商品が自分たち自身の信念、個性、クセ、好みを明らかにして、たとえば、まじめ、面白い、好奇心旺盛、勇猛果敢など、そのパーソナリティを相手に感じ取ってもらうことが必要です。ブランドは機能的な価値を代表するだけでなく、人から愛される人間的な魅力を持つことが大事なのです。

そのようなブランド個性の伝達手段としては、伝統的広告手法よりも、ストーリーに載せてメッセージを情緒的に届けられるショートムービーに利があります。インターネット/モバイルメディアの弱点だったリーチの狭さも、ユーザーの爆発的拡大と各種動画サイトの充実によって克服されていますから、今後も多くの名作ショートムービーが世に送り出されることと思います。

岡崎 茂生 フロンテッジ ソリューション本部副本部長

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おかざき しげお / Shigeo Okazaki

1981年東京大学教育学部卒業、1989年ピッツバーグ大学経営大学院MBA。1982年電通入社、2006年より北京駐在。北京電通 ブランド・クリエーション・センター本部長を経て、現職。30年におよぶ広告・マーケティング領域での経験をベースに、中国企業をはじめタイ、アメリカ、韓国、日本企業などを対象に幅広くブランド戦略コンサルティングを行なう。アジア各国およびアメリカの大学/大学院でのブランド講座・公開セミナー、フォーラムでのスピーチ、雑誌連載など多数。チュラロンコン大学商学部マーケティング学科客員准教授、南京大学ジャーナリズム&コミュニケーション学院客員教授、湖南大学ジャーナリズム・コミュニケーション&映像芸術学院客員教授。

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