1300万PVを獲得した東芝のショートムービー
日本企業もこの新メディアを積極的に活用しています。東芝は中国で「中国サッカー協会杯」(通常のリーグ戦とは別のカップ戦。日本の天皇杯に相当)のスポンサーとして、サッカーを通して中国の青少年の健全な育成に貢献しており、昨年11月、サッカー協会杯決勝戦の時期に合わせて「另一种温暖 (もうひとつの温かさ、の意)」と題したショートムービーを投入しました。
この作品は約20分という長尺の本格的ムービーで、ケガのため第一線から退き自暴自棄になっているプロサッカー選手と近所の草サッカーチームの少年・少女たちの交流を描いています。心を閉ざしていた選手がサッカーを通して子どもたちと打ち解け、励まされ、復活へ向けて再び立ち上がっていくプロセスは、見る者を温かな気持ちにさせてくれます。プロサッカーチーム「贵州人和队」所属の「曲波(チウボー)」選手も特別出演して、物語にリアリティを加えています。草の根レベルから中国のサッカー振興を支援するスポンサー企業の姿勢が自然な形で伝わってきます。
この作品が東芝自社サイトや無料動画サイト上にアップされた11月1日から12月10日の間に、PVは1300万を超えました。PR施策、交通機関のLCD媒体での掲出などマルチメディアで展開し、「微博(ツイッターの中国版)」で12万以上のコメントが発生しました。今でも各種動画サイトで閲覧されています。
ペプシの大ヒット・キャンペーン「把乐带回家」
2012年の春節(中国の正月)前にスタートしたペプシの「把乐带回家(故郷に幸せを持ち帰ろう)」キャンペーンは中国人の心をわしづかみにしました。
このキャンペーンの構造は実によく考えられたものです。ペプシ、トロピカーナ、レイズの主要3商品に起用しているスター歌手、俳優3人にさらに実力派俳優2人を加えた計5人の豪華キャストで約10分のショートムービーを制作し、インターネット、モバイル、テレビCF、交通メディア、店頭など幅広いアクセスポイントで展開していきます。タイトル「把乐带回家」には、「ペプシコーラ(中国名:百事可乐)」「トロピカーナ(纯果乐)」「レイズ(乐事)」の3ブランドに共通する「乐(楽)」の文字が入っており、3商品を統合した販促キャンペーンの役割も担っています。
ストーリーもよくできています。春節を前に田舎で3人のわが子の帰郷を心待ちにしている父親と、都会で仕事に追われ帰郷できそうもない子どもたちを描いたショートムービーは、中国の若者が直面する現実を描写したもので、共感を得やすい内容になっています。もちろん結末には春節を飾るにふさわしい家族愛に満ちた豪華な大団円が用意されており、絶対にスベらない「鉄板」のエンターテインメント・フィルムです。ペプシブランドと中国人・中国社会との絆の強化に、大いに貢献したことに疑いはありません。
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