「営業だけはやりたくない」
いかにも嫌そうなニュアンスを伴って、そんな声が耳に飛び込んできました。異動も間近に迫った若手の飲み会の場でのことです。
そのまま何となく耳を傾けていると、理由を問われて「自分は営業には向いていない」と。そこでつぶやかれた、答えになっていない答えで何だか余計にわからなくなり、酒席の会話はそのまま流れ、私は発言の中身というより、その感情の押し出し方だけがもやもやと記憶に残りました。
今思えば、その人は「営業の経験がない」人でした。
その後、このやり取りはすっかり忘れていたのですが、たまたまこの前、自分の就職活動のときの自己分析のメモが古いPCから出てきました。そこにはまったく同じことが書いてありました。引用します。「営業は自分の性格的に向いていない。まずない」
「知らないからやりたくない」
ここへきて私の感じた違和感の正体が、なんとなくわかりました。当時の自分も飲み会のときの彼も、どちらも「営業」を知らないのに、拒否反応を起こしていました。
知らないのに「営業」に拒否反応を起こしている。わからないのに「営業」に向いてないと言い切っている。如何なものかと思います。
でも、よく考えてみると、実は必ずしも矛盾していないような気もします。
つまり「知らないのにやりたくない」わけではない。「知らないからやりたくない」のではないかと。
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