「3秒ルール」がまるで当てにならない理由 医者の私は落ちたモノをとりあえず食べる!

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物の表面に付いている細菌について、米国で最も時間をかけて研究を行っているのはおそらくチャールズ・ガーバだろう。彼はアリゾナ大学で微生物学と環境科学を担当する教授で、このテーマで多くの論文を執筆している。

1998年に、ガーバは他の研究者らとともに、家庭の清掃用品で大腸菌群をどのくらい減少させられるかを調べた。この研究の一環として、清掃前の時点で、家のさまざまな場所にどのくらいの細菌がいるのかも調査した。

ガーバらによると、キッチンの床には1平方インチ(約6.5平方センチメートル)あたり、平均で約3コロニー(集団)の大腸菌群があることがわかった(正確には2.75コロニー)。つまり、ある程度は存在するということだ。しかし、ここが重要なのだが、キッチンの床は冷蔵庫のドアの取っ手(1平方インチあたり5.37コロニー)や、キッチンカウンター(同5.75コロニー)よりも清潔なのである。

私たちは、床に落ちた食品については、何が付いているかと大いに心配をするが、冷蔵庫の取っ手に触れることは特に気にしない。また、キッチンのカウンターに触れた食品についても、あまり心配しない。だが、カウンターも汚染されていることには変わりがない。

同様のことがトイレにも言える。便座について心配する人は多いが、便座は先に挙げたキッチン内の三つの物よりも清潔である(1平方インチあたり0.68コロニー)。では、トイレで便座よりも汚染されているものは何か――。ほぼすべてだ。水を流すためのハンドル(同34.65コロニー)、流しの蛇口(同15.84コロニー)、カウンター(同1.32コロニー)。

1ドル札の94%に細菌が…

物が汚染されるのは、意識しないうちに多くの人の手が触れている場合だ。床や便座については心配なので、よく掃除をする。だが、冷蔵庫の取っ手や蛇口については、それほど意識することはない。

この理屈についてさらに考えると、頻繁に手が触れるのにほとんど掃除をしない物があることに気が付く。たとえば、ある研究によると、医療従事者の携帯電話には、その95%に院内感染菌が付着していた。黄色ブドウ球菌に汚染されていた携帯電話のうち、半数以上がメチシリン耐性菌(MRSA)だった。

また、あなたの財布に入っている紙幣やコインを、これまでに何人が触ったか考えてみよう。1ドル紙幣を対象とした調査では、その94%に細菌が付いていることがわかった。そのうち7%が健康な人にとって病原となる菌で、入院患者や免疫不全の人であれば、87%が病原となる菌だった。あなたは現金をどこに入れているだろうか。財布だろうか、小銭入れだろうか。その財布を最後に手入れしたのはいつか。おそらく不潔なはずだ。

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