「うっわー、ほんまどこの経済紙見てもアベノミクス、アホノミクス、株価が上がるかどうか、そんなんばっかりやな。どうせ経済専門家や株式専門家の話なんてほぼ全て的外れやのに、なんで皆こう読みたがるんや。そもそも円急落でドル建てで見たらS&P500のパフォーマンスを下回ってるのに、一体何がそんなに嬉しいんや!!」
さて、ここ数週間アベノミクスや株価関連の話題で「東洋経済オンライン」が埋め尽くされているが、遅ればせながら私もフランスの彼方から参戦させていただこう。というのも、最近、こちらフランスの世界マクロ経済関連のカンファレンスで超久しぶりに日本のことが話題になり、アベノミクスに関して海外でも関心が高まっているからだ。
6月になったら株が高騰するとか、再度秋口には崩壊とか、なんとでも言えるわけだが、私の長年の経験から確かなのは株価のリターンはほぼランダムであり、変数も多すぎて予測などできないという一点に尽きる。かといって資産運用会社のサービスは無意味だと言っているわけではないので私の業界の友人の皆様は怒らないでいただきたいのだが、ともあれ最近の株価動向に関して所感を述べさせていただこう。
株式投資の専門家も当たる確率は5割
最近の株価動向だが、別に実物経済の力強い下支え(つまり8割の株価上昇を支える8割の利益上昇)があったわけではなく、ファンダメンタルのサポートがついてきていないだけに、株価は期待値と需給の乱高下によりボラティリティが極めて大いのは当然である。最近の急激な売り浴びせに戸惑った経験豊かなアセットマネジャーが“どこかの国が陰謀で売り浴びせている”とか滑稽なことを言い出すくらい、日本株ストロングバイキャンペーンを行ってきた直後のファンドの皆さんを当惑させている。
さて、まず株式投資の基本だが、“株式投資専門家”の意見を決して真に受けてはならない。
明日の株価はほぼ50%の確率で上がり、50%の確率で下がり、その上がり幅の確率分布は見事に正規分布に従う。大幅に上がればその反動で大幅に下がることが多く、儲けているのは最初に動いた一部のアーリームーバーと、ボラティリティで稼ぐデリバティブ投資家の皆さん(つまり上がっても下がっても儲かるプロダクト)だけである。その値動きの理由について金融機関や金融情報誌は毎日レポートを送ってくるが、書いているほうも読んでいるほうも、実際は「ランダムな値動きに後付けで何とでも言えるわな」と鼻で笑っている。
少なくとも本当になぜ上がっているのか、下がっているのか、真実を知っている人はほぼおらず、また将来、どうなるかに関しては100%知らないのに、皆が的外れな理由を面白おかしく「あーだこーだ」言い合って、乱痴気騒ぎに興じているのである。
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