時限爆弾・日本国債が破裂するタイミング
なお、アベノミクス最大の懸案事項とされる日本国債の行方だが、その大量売却は資産の大半を占める国債の値崩れリスクがあるので、「too big to sell(大量に保有しすぎて売れない)」といった恐ろしい資産になりつつある。どの機関投資家かは大きな声で言えないが、政府が刷りまくる国債をほぼ機械的に買わされ、いつか破裂する“売れない大量の国債ポジション”という時限爆弾を無理やり持たされている。
日本のネット金融資産を見れば、あと5年もすれば外国人投資家が買ってくれないと需給の面からも暴落するわけだが、そのときに“逃避先”としてでなく実力で買ってもらえる国債になれているか、甚だ疑問である。アベノミクスの放った矢が、円安と株価上昇の引き換えに全国民が大量に持たされている国債暴落の風船に突き刺さらないか、安倍氏が放った矢の突き刺さる先が心配である。
外国人投資家にとっては、買うべき国がたくさんある
歴史的に日本株が上がっているときは、売買金額に占める外国人機関投資家の割合は5割近くに上り、外国人機関投資家が日本株をどのように見るかが株価の行方を決めるので、持続的な株価上昇には外国人機関投資家の関心が不可欠だ。
ただ、大昔のエマージングマーケットやアメリカ、欧州以外の投資先となると、日本しかなかった20年前とかと異なり、今や日本の金融市場をはるかに凌駕するするグレーター・チャイナ・マーケットを含むBRICs、その他OECD諸国にASEAN、ラテンアメリカ、中東、そしてアフリカとの資金獲得競争が起こっており、並大抵のことでは彼らは買い続けてくれない。
そんな中、外国人機関投資家およびその機関投資家におカネを振り分ける世界中の年金基金・大学基金・個人投資家等は、結局、日本がこれらの国々より長期的に魅力的な投資対象とみなせなければ、短期的にボラティリティで稼いで去っていくヘッジファンドはともかく、持続的に日本株を買い持ちしてはくれないのだ。
大切なのは市場を刺激する短期的な期待醸成ではなく、持続可能な、実績で裏打ちできる持続可能な期待を形成することである。
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