外しても平然としている“専門家”たち
私は知った顔して株価は2万円になるとか(ちなみに誰とは言わないが、この方は、いつも日本株は2万円になると10年くらい言い続けているので、業界では「またかよ」と笑っていたりする)、6月に株価調整とか、円は50円にとか、どうせ外れるのに堂々と吹聴できる人の胆力をうらやましく思う。
これは読み手の忘却力と、今までも外れまくってきたけど怒られなかったから今回外しても大丈夫、という習慣化した無責任さの賜物だろうか。もしくは、「みんな外れるんだから、みんなで外せば怖くない」の心境だろうか。はたまた、過激な一言を言わないとメディアで取り上げられないので仕方ないのだろうか。(たしかに私が、“株価の動向は諸々の不確定な変数に依存し、将来動向の予測は困難である”という真実を断言したところで誰も注目しないだろう)
どうせ大半の場合、半分の確率で当たり、半分は外れるので、何かたくさん予言すると一部はランダムに当たるわけだが、それを本気で信じるナイーブな投資家の皆さんのおかげで、アベバブル破裂(高い期待値に応じた実績が伴わなければ、バブルということになる)のインパクトが大きくなっていくのである。
金融緩和ストーリーに飽きた機関投資家
さて、安倍氏は期待の醸成に成功した。というか、今まで低すぎた期待値への反動を待つ投資家のセンチメントを刺激するのに成功し、ふんわりとした期待で外国人投資家が流入して株価のラリーが続いてきた。日本株は昨年後半までさすがに売られすぎていたので、世界経済が上向く中、バリュエーションが極端に低い日本株は資金を流しやすい対象であった。
また、中国などにたらふくエクスポージャーをもっている海外投資家は、中国経済成長の鈍化に伴い世界の株式配分をリバランスしたいわけだが、欧米以外に配分する巨大資金の受け皿となるのは、市場規模からいって日本であった(インドネシアなどにも流入したが市場規模が小さくすぐにバリュエーションが高騰した)。
加えて欧米の経済も底をつき、米国市場の指標が強い中、円に逃避していたドルやユーロに資金が還流するタイミングを探るうち、その大きな調整の流れに政権交代と大幅金融緩和の期待値が円安と株高にモメンタムを与えた。
「そんなもん聞き飽きたわ!!」とのおしかりの声が聞こえてきそうだが、皆様と同様にこのストーリーに多くの投資家が飽き出した今、今後は市場が金融政策・財政政策・成長戦略というアベノミクスの矢が的に当たったのか、マクロ経済と企業業績の数字を見定めにかかる段階に突入している。安倍氏就任から半年が過ぎ、もはや“大幅金融緩和”“大幅財政拡大”という語りつくされたストーリーに食いつく投資家はいない。
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