キンコン西野氏「肩書は、今すぐ捨てなさい」 炎上の先に見えた、「シゴトの未来」とは?

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――実は、多くのニュースサイトも同じだと思います。誰が見ても「そうだな」と肯定されるものは、なかなか数字が取れない。肯定と否定が6:4ぐらいの割合で議論が起きているもののほうが読まれるように思います。

そうですよね。アイス・バケツ・チャレンジも、10人が10人、「いい」と言っていたら、もっともっと早くに失速していたし、助かる人はもっともっと少なかったと思います。そう考えるとやっぱりアンチはいいですよね。議論が生まれるって、ずっとゼロ円で宣伝してもらっているという状態ですから。

全員が黙る瞬間がいちばんやばい

――しかし、日本人の普通の人って、否定されることにものすごくネガティブですよね。若い人と話していると、炎上を恐れてTwitterに鍵をかけている人が多いんですよ。多数派はソーシャルに出ることを嫌がっていて、西野さんが考えている世界観と真逆の方向に行っている印象があります。

なるほど。僕も上の世代の人に、「なんで、そんな炎上させるの?」って言われるんですよ。炎上って要は、議論が生まれている状態じゃないですか。でも、その内容には触れずに、とにかく「炎上=悪」、つまり「議論を生むこと自体が悪」という前提で語られている。これはまずいですよね。議論も全部なくなっちゃって、何かやったらたたかれるからって、全員が黙る瞬間がいちばんやばい。

炎上していることを悪と考えるのは、間違っています!

内容に触れて、「僕はこう思う」と言われるならわかるけど、「炎上さすな」って言われると、なんか戦時中みたいな感じがして。「もう黙れ」って、「もう国が決めたことには口を出すな」って言われた戦時中みたいな雰囲気がしていて、嫌なんですよ。

――確かに日本における働き方って、戦時中の影響をそのまま受けているような気がしますよね。国が会社に変わっただけで。

絶対にそうですよね! 学校もまだ軍隊教育の感じを引きずってますもん。僕、戦争嫌いなんですよ。人がいっぱい死んじゃうのも、もちろん嫌なんですけど。やっぱり戦争がいちばん面白くないなと思うのは、選択肢がなくなること。

「イラストレーターになりたい」と言う子がいたとしても、「今は戦時中やから、そんなことしている場合じゃない」みたいな。選択肢がなくなるって、すごく貧しい状況だなと思って。

――老人ホームでレクリエーションとかやるじゃないですか。で、「これをやります」って決められたグループと、「このプログラムの中から選んでください」っていうグループで、得られる幸福感がまったく違ったという実験があるという話を聞いたことがあります。人間の幸福の本質は、「選択の自由」に根ざしているようですね。

なるほど、なるほど。おもしろ! 僕も、自分に対して「そんなことするな」みたいなこと言ってきた先輩とかにすごい反発します。まあ、誰ってナインティナインの岡村さんなんですけど(笑)。岡村さん、大好きな先輩なので。

そういう人こそ「あれもありだよ、これもありだよ、それもありだよ、ドンと行け」みたいなことを言ってほしかった。なのに、率先してラジオとかで、「芸人なのにそんなことやっちゃダメだ」とか、後輩に対して選択肢を狭めるようなことを言う。「そんな……俺が大好きな岡村隆史がそんなことを言ってくれるなよ」って思って、僕としては寂しくなっちゃっていますね。

(撮影:梅谷秀司)

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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