ショートゴロに隠された、栗山巧のすごみ 月間MVPプレーヤーの目標達成力

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 最新
拡大
縮小

結果を見れば、単なるショートゴロ。相手野手のフィルダースチョイスが絡んで打点1が記録されたものの、特に話題になった打席ではない。

埼玉西武の3番打者として活躍する栗山巧(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

しかし、この一打にこそ、栗山巧(西武)のすごみが凝縮されている。

当連載で1度取り上げた栗山は、目標設定を的確にできる選手だ。一般的に「目標は短期、中期、長期で設定するべき」と言われるが、栗山はその3つを1本の線でつなげることができる。

5月14日、神宮球場。4連敗中だった西武は交流戦初戦で、ヤクルトと対戦した。試合は両先発が不安定な立ち上がりで、4回を終えて3対2でヤクルトがリード。5回表、攻撃の西武は9番・投手の十亀剣に代打で送った片岡治大がレフト前ヒットを放ち、1番・浅村栄斗のセンター前ヒット、続く秋山翔吾の送りバントで1死2、3塁。是が非でも同点にしたい場面で、3番・栗山に打席が回ってきた。

「最低限の犠牲フライでも、1点入って追いつきますね」

バックネット裏で一緒に観戦していた某球団の元選手に、筆者が話しかけた。

「栗山はそんなタマじゃないだろ?」

ヒットで2人の走者を生還させれば、チームは逆転する。左打者の栗山はセンターから左方向に打つ技術が高く、タイムリーヒット狙いと元選手は見ていた。

だが、栗山の思考ははるかに上をいっていた。

次ページドヤ顔の栗山が語ったこと
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT