介護の世界から返り咲いた鬼才プロゲーマー 新世代リーダー プロゲーマー ウメハラダイゴ

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ウメハラは著書、「勝ち続ける意志力」の中でこのように述べている。

ほとんどの人は、実力がつけばつくほどに自分なりのスタイルというものを確立してしまう。……(中略)その点、僕の勝ち方にはスタイルがない。スタイルに陥らないようにしていると言ってもいい。

格闘ゲームや麻雀の世界にはセオリーがある。「こうやれば勝てる」や「こうすれば有利に勝負を運べる」というある種の“パターン”が存在する。だが、ウメハラはそういったセオリーに対しては懐疑的だ。「もちろんセオリーは必要だと思いますが、セオリーだけを追求するようになるとワンパターンに陥る。そうすると、一瞬は勝てますが、いずれ勝てなくなります」。セオリーすらも疑う対象なのだ。先日のニューヨーク大学の講演では、「どうして楽な勝ち方をしないのか」と聞かれた。それに対しても「勝負を通じて自分を成長させたい。だから楽な道を選ばない」誰にも真似できない道を突き進む。

才能や年齢という壁を突き崩す「圧倒的努力」

格闘ゲームの世界では20代後半になると、反射神経がピークアウトすることから、徐々に勝てなくなると言われている。だが、ウメハラは29歳、プロ復帰1年目の大会でいきなり優勝を果たす。年齢や才能と言った「どうしようもなくあらがえない壁」を圧倒的な努力で突き崩した。ウメハラは自身のことを「つねに今が最強」と豪語する。

強くなるには何がいちばん大きな要素なのだろうか。ウメハラに問いかけた。

「“好き”と思う気持ちが最強の才能でしょうね。それに比べれば要領の良しあしなんて、たいした問題じゃない。僕は幼い頃から、“ゲームが好き”という気持ちは誰にも負けなかった。今もその初期衝動を持ち続けているから、強くなり続けることができるんだと思います」

小さなコントローラーの前には、まだ見ぬ強敵に挑む「少年の頃の夢」が広がっている。

=敬称略=

(撮影:尾形 文繁、画像提供:マッドキャッツ)

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