アベノミクス相場は終わっていない 山崎元が読む、ちょっと先のマーケット

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暴落直後の株価は、バーゲンセールの範疇

企業の業績予想は、もちろん個々に強気・弱気の差があるが、たとえば、トヨタ自動車は為替レートの想定を90円と慎重に見積もった数字であり、業績予想の出し方が全体として強気にすぎるということはなさそうだ。

PER17.7倍は益利回りに直すと5.6%強となる。仮に、名目GDP成長率を2.7%(政府見通し。2月28日閣議決定)、長期金利を0.9%として、「益利回り+成長率−長期金利」で株式のリスク・プレミアムを計算してみると、7.4%もある(注:利益成長率=一定=名目GDPと仮定して、長期金利に対して計算したリスク・プレミアムだ)。

仮に、この計算方法でのリスク・プレミアムが、筆者がおおよその標準値と考えている6.0%まで低下すると仮定するなら、益利回りには1.4%の低下余地があり、その場合のPERは23.8倍、対応する日経平均は、2万0681円となる。

23日の大暴落を経た株価に対して、PERは16.7倍見当であり、これは益利回りで6%にもなる。「利食いたい」という投資家と資金がどのくらい溜まっているのかは分からないが、現状の、予想利益、経済成長率、金利を前提とすると、大幅に下げた目下の株価は、昨年から随分上げているとはいえ、あえていうなら「バーゲンセール」の範疇だ。

もちろん、暴落には大衆が後からわかるような隠れた理由があるのかも知れず、ここがターニング・ポイントだった、という可能性がないではない。だが、目下分かっていることから判断すると、スピード的にはともかく、レベルとしては、2万円未満の日経平均はバブルではないと筆者は判断している。

今回のマーケット・ウォッチは、あえて、内外の材料には拘らずに、「株価水準」だけにフォーカスしてみた。いわゆる材料を離れて、価格のレベルを考えて見る、というアプローチは時々あっていいものだと思う。競馬でいうと、騎手だの、馬場だの、展開だのに拘るのではなく、素直にタイムと格を評価するような感覚だ。

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