特に、政策に敏感な外国人が買いやすく、日銀が買い入れているETF(上場型投資信託)の投資対象でもある大型株は、調整しにくかったのだ。
もっとも、5月22日の『日本経済新聞』のマーケット欄での「出遅れ株物色」の見出しにもあったように、銘柄間の上昇スピードの差に注目が集まるなど、ここにきて、やっと普通に相場らしくなってきた。普通の相場なら、5割上がれば、1割強くらいまでは、何の材料がなくとも、利食い売りだけで調整しておかしくない。
消費増税の見送りもある?
では、今後はどうなるのか。日銀には、一つにはETFの買い入れ余力がまだまだある。もう一つには110円程度の円安まで持っていく手段も複数ありそうだ。為替レートはおおむね、1円の円安が日経平均で200円~300円の上昇に結びついている(特に最近は上限に近かったが、いくらか背伸びしすぎたのだろう)。彼らは、金融緩和と市場の期待への働きかけの組み合わせで、円安に誘導する手段を持っている。
加えて、官僚との力関係で実現するかどうかは不透明だが、政府には、消費税引き上げの先送りという強力なカードもある。
また、参議院選挙は、政権の高支持率に加えて、野党の足並みが乱れていて、自民党圧勝の形勢だ。財務省としては、本気で財政を心配しているというよりも、自分たちの力を示して、政治をコントロールしたいのだろう。だとすれば、1年間の消費税引き上げの見送りで、コントロールしやすい自民党政権の基盤が固まるなら、税率引き上げの1年見送りくらいなら許容してみせる度量があるかも知れない。
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