「憲法・靖国・増税」、参院選後の安倍政権 吉崎 達彦が読む、ちょっと先のマーケット

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参院選後の安倍政権はどう動く?市場を先読みするうえで、政治は欠かせない(写真は昨年の衆院選、撮影:尾形 文繁)

6月5日、安倍晋三首相は第3弾の成長戦略スピーチを発表した。ところが中身はほとんどが想定の範囲内で、市場は「日経平均株価500円下げ」で手荒く歓迎した。ともあれ、これにてアベノミクス「3本の矢」がほぼ出そろったことになる。これから先は、7月の参院選が焦点となる。おそらくは与党が勝利して、参院の過半数を確保することになるだろう。市場を先読みするという当コラムの趣旨からいくと、そろそろ「参院選後の安倍政権」に思いを馳せなければなるまい。

これからの、3つの読み筋を検証しよう

そこで筆者が安倍首相になり切って思考実験してみた結果、3つの読み筋が浮かんできた。以下にご披露して、読者諸兄のご参考に供する次第である。

(1) 安倍政権は憲法問題を先送りする

筆者は産経新聞「正論」の執筆メンバーだったりするので、世にいう「保守派」の気持ちがよくわかる(ただし、必ずしも賛同しているわけではない)。民主党政権下の3年間、保守派はとにかく我慢を重ねてきた。この間に対外関係は押しなべて悪化し、領土問題でも付け込まれ、企業活動は沈滞し、財政状況も悪化し、震災復興も進まず、何ひとついいことがなかった。いい加減、頭に来たところで野田佳彦首相(当時)が自爆解散に踏み切ってくれて、うれしいことに自民党政権と安倍首相が戻ってきた。

その安倍さんは、経済最優先の安全運転に専念している。アベノミクスのお陰で円高と株安は修正され、日本経済もどうやら好転しつつある。お陰で内閣支持率も上々だ。参議院選挙さえ終われば、安倍さんは誰に遠慮することもなく、憲法改正に向かってまい進してくれるに違いない。「いましばらくの辛抱ぞ!」ということになる。

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