「お見合い問題」の経済学、いつ真剣になればいい?
ストーリーを単純にするために、存在する選択肢は、どのタイミングでも、直近の見合い相手と結婚するか否かのみ、過去の見合い相手を後から選び直すことはできず、いざ自分が結婚を決めたら、相手に断られることはない、としておこう。
もちろん現実には、過去の見合い相手と時間を経て結ばれたり、意を決して求婚した相手に振られたりすることもあるだろう。そのため、「お見合い問題」から導かれる答えは、どんな出会いにも無条件で使える万能の解決策ではない。あくまで、特定の状況を想定したうえでの、最適戦略である点に注意してほしい。
さて、出会いを通じて情報を得ていくしかない状況でも、2人と出会えば、どちらがより望ましい相手であるかはわかる。すると2人目以降では、「相手が1人目より望ましければ結婚するが、そうでなければ次のお見合いに進む」といった、条件付きの戦略を考えられるようになる。
お見合い問題では、うまくデザインされた条件付き戦略を採用することで、理想の相手と出会い、結ばれる可能性を最大化できるのだ。
このとき注意する必要があるのは、多く見送るほど情報は増えるものの、選ばなかった相手との縁は二度と取り戻せないことだ。つまり、見送り人数を増やしすぎると、残された少ない出会いのチャンスの中から相手を選ばなければならなくなる。
序盤の見合い相手で妥協してしまうと、将来巡り会えたかもしれない理想の相手との出会いを失う。逆にえり好みしすぎると、気づかないうちに最良の人を逃してしまい後悔する。お見合いにはそんなリスクが潜んでいるのだ。
このメリットとデメリット、つまり、ある人数までを見送ることと、それにより失われる可能性のトレードオフを、うまくバランスする「見送り」人数によって、最適な条件付き戦略は決まるのだ。
あまり抽象的な議論ばかりしているとイメージがつかみにくいので、仮に見合い相手が全部で10人である場合を見てみよう。ベストの相手と結ばれる可能性を最も高めるためには、いったい何人を見送れば良いのだろうか。皆さんだったら何人くらいを見送るか、ぜひ考えてみてほしい。答えは決まっただろうか?
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