善意の支援物資、その分配の悩みとは?
2013年3月11日で、あの東日本大震災から、ちょうど2年が経ったことになる。千年に一度ともいわれる未曾有の大災害に、1万5000人を超える尊い命が犠牲になった。まずあらためて、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りする。
今回は、震災後に起こった問題の一つを、ミクロ経済学の観点から考えてみたい。注目するのは、避難所へ送られた支援物資だ。それが引き起こした意図せざる問題と、解決に役立つ(かもしれない)具体的なアイデアを、ご紹介していこう。
東日本大震災の直後から、被災地は深刻なモノ不足に見舞われた。このピンチを救ったのが、他の地域から善意で届けられた支援物資だ。
ただやみくもに物資を送っても、有効には利用されないだろう。阪神・淡路大震災の経験を踏まえて、紙おむつや水、ラップなど、特に必要とされるモノを、窓口となってまとめて届けた自治体もあった。
受け入れ側も、被災者の意見を集約し、物資の要望リストをネットで公開する、といった具合に、それぞれ現場レベルの工夫を凝らしていた。
しかし、こうした対応をとっても、各避難所に、適切な支援物資が届かないことはままある。たとえば、百人の被災者が集まる避難所に、90人分の食糧が送られてくるような場合だ。
物資を一人1セットずつ行き渡らせることができないなら……と、配らずに捨ててしまう。そんな極端なケースさえあったようだ。
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