お金を使わず幸せに?物々交換の賢い仕組み

東日本大震災の支援物資問題を振り返りながら

善意の支援物資、その分配の悩みとは?

著者:安田洋祐(経済学者、政策研究大学院大学助教授) 撮影:尾形文繁

2013年3月11日で、あの東日本大震災から、ちょうど2年が経ったことになる。千年に一度ともいわれる未曾有の大災害に、1万5000人を超える尊い命が犠牲になった。まずあらためて、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りする。

今回は、震災後に起こった問題の一つを、ミクロ経済学の観点から考えてみたい。注目するのは、避難所へ送られた支援物資だ。それが引き起こした意図せざる問題と、解決に役立つ(かもしれない)具体的なアイデアを、ご紹介していこう。

東日本大震災の直後から、被災地は深刻なモノ不足に見舞われた。このピンチを救ったのが、他の地域から善意で届けられた支援物資だ。

ただやみくもに物資を送っても、有効には利用されないだろう。阪神・淡路大震災の経験を踏まえて、紙おむつや水、ラップなど、特に必要とされるモノを、窓口となってまとめて届けた自治体もあった。

受け入れ側も、被災者の意見を集約し、物資の要望リストをネットで公開する、といった具合に、それぞれ現場レベルの工夫を凝らしていた。

しかし、こうした対応をとっても、各避難所に、適切な支援物資が届かないことはままある。たとえば、百人の被災者が集まる避難所に、90人分の食糧が送られてくるような場合だ。

物資を一人1セットずつ行き渡らせることができないなら……と、配らずに捨ててしまう。そんな極端なケースさえあったようだ。

次ページ「効率」と「公平」を両立させることの難しさ
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • フランスから日本を語る
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 財新
トレンドライブラリーAD
人気の動画
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
地方スーパーが撃沈「コスモス薬品」の破壊力
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
パチンコホール「ガイア」店舗撤退で大激変する勢力図
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
日本人が知らない「ビタミンD」不足の怖さ
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
「上司の品格」を疑われる、やってはいけない7つの質問
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
SDGsが迫る企業変革<br>ビジネスと人権

サプライチェーンの中で起きる人権侵害への意識が高まっています。欧米では法制化が着実に進展し、企業に対し人権リスクの把握と対策を求める動きが顕著に。欧米に比べて出遅れている日本企業の現状を多角的に検証します。

東洋経済education×ICT