「交換なんてしなければよかった」とは言わせない
ではもう一つ別のパターンとして、参加者に順位をつけ、それに従って各自が欲しいものを選んでいくとどうなるか見てみよう。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの順番に好きなものを選べるとする。
この場合、Aさんは自分の第一希望であるBさんの持つ財Bを受け取る。
次のBさんは、第一希望は自分の持っていた財Bだったが、それはAさんに取られてしまったので、第2希望の財Eを選ぶ。
Cさんは第1希望の財Eを既にBさんに取られているので、次に希望する財Dを取る。
Dさんは第1希望の財Cが残っているので財Cを取る。そして最後のEさんは第1希望の財DはCさんに取られているので、残った財Aを受け取る。
といったかたちで品物を交換することになる。
ぱっと見ると、すべての参加者が、第2希望以上のものを受け取っているので、なかなか望ましいマッチング、十分に満足のいく交換なのではないかという気もする。しかし、一つ問題点がある。
そう、Bさんだ。
このBさんは自分自身がそもそも持っていた財よりも、悪いものを受け取ってしまっているのだ。
Bさんは、なにかを持ち寄って交換するということで、自分の財を持って参加してみたけれども、自分以外の参加者がジャンクしかもってきてないと感じた。
財の交換は誰ともしたくない、そう思っていたにもかかわらず、自分の財をAさんに、ある意味強奪されてしまったというわけだ。
するとBさんには不満が残る。
「こんなことなら交換しないほうがよかった」と。
このような後悔が残らずかつ、効率的に財を交換する仕組み、それが今回取り上げたトップトレーディングサイクル(TTC)メカニズムなのだ。
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