お金を使わず幸せに?物々交換の賢い仕組み 東日本大震災の支援物資問題を振り返りながら

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TTCメカニズムは身近な「現実」にも使える

この作業を、全員が退出するまで続けると、最終的な交換結果は必ず効率的になることが知られている。より正確には、どんな小グループの中だけで交換を行ったとしてもこれ以上改善の余地がない、「コア配分」と呼ばれる結果が実現するのだ。

このように、一番欲しい財の持ち主を参加者がいっせいに指差すと、それが自分自身である場合を含め、必ず一つはサイクルができる。ここから、TTCメカニズムは有限回のステップで終了することがわかる。

TTCメカニズムという、ちょっぴりイカつい名前がつけられているが、要はウィン‐ウィンとなる相互交換(トレーディング・サイクル)を次々と見つけていく仕組みなのだ。【※このTTCメカニズムを次のページからさらに詳しく掘り下げます】

さらに注目すべきは、このメカニズムの各ステップで、参加者が嘘をついて第1希望以外を指差したとしても、絶対に得できない点だ。戦略的にあれこれ考える必要がなく、インセンティブの面でも極めて優れた性質を持っているといえる。

TTCメカニズムの応用範囲は、避難所の支援物資の再配分にとどまらない。この仕組みを使えば、たとえば、友人や職場の同僚同士で不要になった雑貨や娯楽品などを持ち寄って、望ましい物々交換を簡単に実現することもできる。

お金を使わない賢い交換の仕組みを、ぜひ皆さんも試してみてはいかがだろうか。

 

【初出:2013.3.16「週刊東洋経済(1億人の税)」

※次のページからは、オンライン特別版としてTTCメカニズムをさらに解説!

 

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