TTCメカニズムが優れている理由はこれだ!
さて、今回ご紹介したTTCメカニズムが他の交換方法より優れている理由を、以下、具体的に説明していこう。
たとえば、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人が、一人1個ずつそれぞれA、B、C、D、Eという財を持ち寄り、名前のアルファベットのならびに従って、適当な交換をしたら、どのような問題がおこっただろうか。
AさんがBさんの持つ財Bを受け取って、BさんはCさんの……というかたちで、順繰りに受け取っていくとすると、各人は左の表の、○で囲んだ財を受け取ることになる。
ここには、明らかに損な交換が実現する。理由は次のとおり。
まずBさんとDさんに注目しよう。BさんはCさんの持ってきた財Cを受け取って、DさんはEさんの持ってきた財Eを受け取っていた。
しかし、これを入れ替えると、実はBさん、Dさんそれぞれの状況が改善するのだ。
経済学では、誰かの満足度を下げることなしには他の誰かの満足度を上げることのできない状況を指して、「パレート効率的」な状況という。
このケースでは、Bさん、Dさんが受け取った財を入れ替えることでパレート効率的な状況が実現するが、もとの結果は、参加者全員のうち1人の満足度も下がらずに、BさんとDさん2人が満足度を高められる、パレート非効率な状況だった。適当に交換してしまうと、このように損な結果に終わってしまうことがあるわけだ。
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