イェール・ハーバード生が創る、未来のGAKKO 世界一面白いサマーキャンプの創り方

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GAKKOプロジェクトのモットーは、“Question Learning”(=学びを問う)。世界中の高校生、大学生、大学院生、つまり教育を受ける側に立っている僕たちが、教育のあり方を決めている大人と一緒になって、現代の「学び」のあり方を考え直し、本当に自分たちが楽しく、豊かに学べる場を創る。それがこのモットーに込められた本当のメッセージなのだ。

(撮影:GAKKO Photographer: Florian Koenigsberger)

GAKKOが抱く夢

2020年に、世界20カ所でGAKKOプロジェクトを開催したい。今年、世界から集まったGAKKOチームの最初のミーティングで、僕はそう発言した。

現段階でGAKKOは、日本で年に1度開催されるサマーキャンプでしかない。20人の大学生と40人の高校生、そして10人のゲスト。世界中にはその何百倍も、クリエイティブな大学生、目の輝く高校生、そして、1日だけ高校の先生になれたら最高に面白い授業をしてくれるであろうイノベーターがいるはずだ。その皆をできるかぎり巻き込んで、世界中でGAKKOを開きたい。

昨年は1年目ということもあり、高校生の参加費を頑張って無料にしたが、今年からは、赤字を出さないために、参加費を取らざるをえなくなった。でも、これはあくまでも僕の個人的な夢なのだが、僕は高校生には無料でGAKKOに参加してほしい。親におカネを出してもらわないと来ることができないプログラムではなくて、親に反対されても、電車代だけ持って家出してこれちゃうような、そんなワンパクなプログラムでありたいと思っている。

こんなモデルはどうだろうか?ニューヨークにGAKKOのオフィスがあり、アメリカの大学の夏休みにあたる5月から8月まで、毎年GAKKOが開催される。毎年、GAKKOを開催する5カ国を決め、それぞれの国を担当する15人のSempai、計75人を世界から集める。彼らには、ちゃんとインターンシップの給料が与えられ、最初の2カ月はニューヨークでとことんプログラムを練る。

それぞれの国のGAKKOに招待する先生を決め、彼らとコンタクトを取りながら、それぞれの国のリサーチ、高校生の面接、授業材料の作成を行う。最後の1カ月はそれぞれ担当の国にチームごとに旅立ち、GAKKOキャンプを世界中で開催する。GAKKOは、毎年、世界の学びのあり方を学生と大人が一緒に真剣に考え、サマーキャンプという形で世界に提案する、シンクタンクの役割も果たすことになる。

今年も、GAKKOにSempaiとして応募してくれたものの、大学の学費を稼がないといけないから、とお給料の出るインターンシップを選ばざるをえない学生が数人いた。GAKKOがもし給料を出せたら、そのときに初めて、Googleやゴールドマンサックスでインターンをする代わりに、GAKKOをする、というような現象が起こる。そうなってこそ、若者の教育にかかわろうとする意識、そしてそのオポチュニティが大きく変わるのではないだろうか? 

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