「100歳まで死ねない」時代、一流はこう働く 「ワーク・シフト」の著者が教える人生戦略

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20世紀には、日本風に言えば昭和には、人生のステージは大きく3つに分けられていた。教育のステージ、仕事のステージ、引退のステージの3つである。

この従来の3ステージモデルが私たちの思考の前提となっている。多くの日本人は、この3つのステージを生きた先人たちの人生を参考に、自分の今後のイメージをつくっているのではないだろうか。

しかし、多くの人が、人生80年からその先、もう20~30年を(健康に)生きる時代がくるとしたら、どうだろうか。3ステージモデルから脱却し、マルチステージの新しい生き方・働き方を考えるべきだと、本書の著者たちは説く。3ステージに沿って漠然と「終活」を考えていた人も、人生設計について考えなおす必要があるかもしれない。

著者たちは、3ステージモデルの終わりとともに、エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという人生の新しいステージが現れる、と述べる。それとともに、年齢とステージのリンクも見えなくなるという。大学生=20代前半、といったような推測が成り立たなくなるということだ。

会社人生から、複数の職業人生へ

近年、日本でも「働き方改革」が政府の経済政策の大きなテーマとなっている。企業サイドでも、裁量労働制やテレワーク・在宅勤務といった柔軟な働き方の検討や導入が進められている。ビジネスパーソンにとっての身近な話題は、企業による副業の解禁だろう。

これからのビジネスパーソンは複数の職業人生を同時に生きることになるのかもしれないし、副業に経済的メリットがあるのなら取り組んでみたいと考える方もいることだろう。本書は、そんな方が行動を起こすきっかけとなってくれるかもしれない。

フェイスブックなどのソーシャルネットワークの発達により、人々は実際に会わずとも瞬時にコミュニケーションをとれるようになっている。現在では当たり前となったこうした環境に慣れると、それらがなかった20年前の時代はもはや思い出すこともできない。この間のテクノロジーの変化の大きさに比べれば、人々の働き方の変化はやはり緩慢だったといえるだろう。

タクシー配車サービスのUberや民泊斡旋サービスのAirbnbといったシェアリングサービスについて考えてみよう。人々のさまざまな「マッチング」が可能になった現在、「従業員」の定義は変わり、働く者がフルタイムかパートタイムかといった区分けは意味をなさなくなりつつある。特定の企業だけに自分の時間を捧げる必要はなくなり、同時に複数の仕事に就くという、複線的な人生を歩むこともできるのだ。

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