ケヴィン・ケリー、「人工知能の未来」を語る 人に残される仕事とはいったい何なのか?

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WIRED誌創刊編集長として長年ハイテク業界を取材していたケヴィン・ケリー氏に言わせれば、今ほど新しいことを始めるチャンスにあふれている時代はない
今やスマートフォンは多くの人の生活に欠かせない機器になった。初代iPhoneがこの世に誕生してから3300日程度しか経っていないことを考えると、いかにテクノロジーが人間の生活や仕事を一気に、劇的に変えるかわかるだろう。
ネットやハイテク機器、SNSの普及によってさまざまなことが便利になった反面、影響力の大きさや弊害を懸念する人もいる。それでも、「今後、テクノロジーがその影響力を加速度的に増大させていくことは避けられない」と、WIRED誌創刊編集長で、テクノロジー界の思想家的存在であるケヴィン・ケリー氏は言う。
同氏は7月23日発売の『〈インターネット〉の次に来るもの ~未来を決める12の法則(原題はThe Inevitable)』で、人工知能(AI)やヴァーチャル・リアリティ(VR)など今後30年間に起こる、12の不可避な(inevitable)テクノロジーの潮流をまとめた。そこにあるのは避けられないトレンドにおびえ、逆らうよりは、徹底的に利用することで、その人にとっても新たな未来が開けるという前向きなメッセージだ。テクノロジーの驚異的な進化に人間はどう向き合っていくべきか。ケリー氏に聞いた。

未来に対する悲観的な見方が多すぎる

――なぜこのタイミングで未来の技術について書こうと思ったのですか。今がまさに著書にもあるように未来の「beginning of beginning(始まりの始まり)」ということでしょうか。

部分的に書き始めたのは10年ほど前で、アップデートしたり書き直したりしてようやく本になったのが今だった。本自体は今後30年間について書いているので、出版が昨年だろうが今年だろうが大きな違いはなかったが、いろいろことがかなりのスピードで起きているのは確かだ。

「始まり」という観点で言えば、どの年も(未来の)始まりではある。つまり、これから未来に進むにつれ、もっともっと新しいものが出てきて、昨年より今年、今年より来年のほうが私たちはより多くのチャンスに恵まれることになる。

そもそもこの本を書いたのは、多くの人が未来に対して恐怖感を抱いていると感じたからだ。そういう映画も多いし、ハイテク業界にはAIの脅威について語る人も少なくない。iPhoneのロック解除をめぐる米政府とアップルの争いをみて、トラッキングされることに嫌悪感を抱いた人もいるだろう。多くの人が未来を悲観しているからこそ、楽観的かつ違う見方を提示したいと思ったんだ。

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