ケヴィン・ケリー、「人工知能の未来」を語る

人に残される仕事とはいったい何なのか?

――12の未来予測の中でも、AI、VR、トラッキングの3つは私たちの未来に大きな影響を及ぼすと話していますね。

Kevin Kelly/WIRED誌創刊編集長、著述家、編集者。1984~90年に雑誌、ホール・アース・カタログなどの発行・編集に携わり、1993年にWIREDを創刊。1999年まで編集長を務め、サイバーカルチャーの論客として活躍。現在はニューヨーク・タイムズ、エコノミスト、タイムなどで執筆するほか、WIRED誌のSenior Marverickも務める。著書は『ニューエコノミー勝者の条件』(ダイヤモンド社)や『テクニウムーーテクノロジーはどこへ向かうのか?』(みすず書房)など多数

特にAIは将来においてだけでなく、有史において最も影響の大きい技術革新になるだろう。産業革命よりはるかに、私たちの生活のすべての面において多大な影響を及ぼすことになる。今、この部屋の外に見えるビルや工場、クルマ、すべては建設機械など人工的なパワーを利用して作られたものだ。そしてこれからは、その人工的なパワーに人工的なマインドを「足す」ことができるわけだ。

50年後もここから見る景色はさほど変わらないかもしれないが、私たち自身の感覚や生き方、働き方は大きく変わっているだろう。街には自動運転車が走り回り、クルマの中がオフィスになっているかもしれない。150年前の産業革命で起きた以上に大きな変化が、AIによってもたらされることになる。

今はAIの真価を認められないかもしれないが、私たちの孫世代は私たちが想像もつかないような仕事をしているだろう。AIが安価で使いやすくなるにつれて、新たな仕事やチャンスがどんどん増えてくる。人類が過去に人工的パワーを手にしたことと同じような変化が、人工的マインドを利用することによって訪れるのだから、本当に大きな変化だ。

AIは私たちの仕事を「再定義」する

――AIについては「機械に自分の仕事が奪われる」と恐怖心を感じている人も多いようです。著書では逆に「AIを活用しろ」と説いてます。

AIは新たな仕事をもたらすのだから、活用しない手はない。私たちが需要があるとは思っていなかったような、新たな仕事ができるはずだ。「仕事」と一言でいっても、それにはいろいろ作業があって、中にはルティーン的なものもある。そういう作業の中で効率性や生産性が求められるものは、AIやロボットがやることになるだろう。

残った仕事――たとえば、調査や実験、新しいことへの挑戦、疑問を持つこと、イノベーションを必要とすること――は本質的に非効率な作業でAIやロボットが得意とすることではない。私たちがやるのはそうした作業だが、こうした作業もまた効率化すればロボットに渡す、という繰り返しになる。

つまり、AIによって私たちの仕事は「再定義」される。その結果、私たちの仕事が丸ごと奪われるのではなく、一部の作業をAIがやることになるわけだ。たとえば、モーターは私たちの「敵」ではなく、むしろ私たちはモーターを使うことで新たな仕事を創出してきた。それと同じで、AIからは奪われるものより得るもののほうが多い。

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