ケヴィン・ケリー、「人工知能の未来」を語る

人に残される仕事とはいったい何なのか?

――全編にわたってグーグルやフェイスブック、アマゾンといった企業の名が何度も出てきますが、将来的にもこうした企業がハイテク業界をリードしていくのでしょうか。

30年後にそれはありえない。ネットの世界でも、ある製品やサービスが広がるにつれ、ユーザーへの魅力度が増し、さらにユーザーが増えるというネットワーク効果(ユーザーの拡大に伴って、製品やサービスの効用や価値が向上する)が発生し、勝ち組が一気に成長するということは起きる。

しかし、かつてのマイクロソフトのように勝者がモノやサービスの価格を釣り上げることはできず、デジタル世界では価格は限りなく無料に近いレベルに下がっていく。同時にこうした勝ち組のプラットフォームを利用する周辺企業が潤うエコシステムも構築される。ところが、こうしたデジタルモノポリストは非常に短命で、成長スピードも著しく速いが、廃れるのもあっという間だ。

グーグルより巨大な企業が出てくる

かつてマイクロソフトはモノポリストだったが、グーグルに取って代わられた。そのグーグルにも今やフェイスブックというライバルがいる。グーグルやマイクロソフト、アマゾンやIBMがなくなることはないだろうが、グーグルが30年後も業界のリーダーであり続けるとは思わない。今後はVRが非常に巨大なプラットフォームになるだろう。VR企業が集められるデータの数も膨大で、今後はこの分野の企業が台頭してくるのではないか。

なぜ多くの投資家たちがマジックリープのような企業に何十億ドルも投資するのか。それはハードウエアがすごいからではなく、VRというこれからすさまじい成長が見込まれるプラットフォームを構築していて、その上に新たなエコシステムが誕生すると考えているからだ。マジックリープがその主役になるかわからないが、グーグルより巨大な企業になる可能性を秘めている。

――AIをめぐっては、「シンギュラリティ(技術的特異点)」を恐れる向きがありますが、ケヴィンさんはこの考え方に否定的です。

シンギュラリティについては前著(『テクニウムーーテクノロジーはどこへ向かうのか』)で書いているので今回の著書ではあまり触れていないが、シンギュラリティにはソフトバージョンとハードバージョンがあると考えている。ハードバージョンはAI自身がよりスマートなAIを作れるようになり、それが繰り返されることでついに人間を超えるというものだ。この「超AI」は私たちが直面しているすべての問題を解決できる「神」のような存在だ。

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